ベルリンの街。 廃墟の上から人々を見守っている天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)がいる。 天使の耳には、地上の人々の内心の声が聞こえる。 天使の姿は子供たちには見える。
ダミエルは、親友の天使カシエル(オットー・ザンダー)と、今日見た自然や人々の様子について情報交換し、永遠の霊であり続けながら人間ではない自分にいや気がさしている。
図書館は天使たちの憩いの場だ。 老詩人ホメロス(クルト・ボウワ)が失われた物語を探している。 サーカスに迷いこんだダミエルは、空中ブランコを練習中の美女マリオン(ソルヴェイグ・ドマルタン)を見て一目惚れをする。
ピーター・フォークの出演しているスタジオには様々な人がいる。 ダミエルはカシエルを呼んでサーカスの公演を見に行く。 マリオンを見つめるダミエル。
最後の公演を前に死の怖れを語るマリオンの肉声。 ロック・コンサートで踊るマリオンの手にふれるダミエル。 夜明け、ピーター・フォークはダミエルに人間になることをすすめる・・・
これは変わった作品ですね。
監督はヴィム・ヴェンダース、わかりやすい作品の 「誰のせいでもない」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14576348.html を記事にしていますが、「セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13951274.html というドキュメンタリー作品は良かったですね。
そしてオットー・ザンダー、出演作をみるのは初めてです。
物語は、ベルリンの街を見つめる二人の天使のお話です。 彼らは人間の心のうちがわかりますが、客観的に見たりしている自分がだんだん嫌になっていくのがミカエルです。 だんだん人間に介入していきます。
今作は、ある映画製作の狭間で撮ったといわれています。 監督がベルリンを眺めている時に街のあちこちに天使の意匠があることを発見し、好きだった画家のパウル・クレーの天使のイメージとそれが重なって、天使を主人公とした映画というアイデアに結びついた、ということらしいんですね。
予算的なこともあるのかもしれませんが、幻想的で、暗示的な作品に仕上がっています。

上空からベルリンを見る天子

しかしだんだんと

人間に介入していく

そして介入していくうちに

人間になりたくなっていく
