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ヒトラー最後の代理人

2016年作品、エレズ・ペリー監督、ロマナス・フアマン マチ・マルチェウスキ シラ・ドタン出演。

舞台は1946年のポーランドクラクフ。 捜査官兼判事のアルバート(マチ・マルチェウスキ)は、あるドイツ人への尋問を命じられる。 その人物とは、アウシュビッツ強制収容所の所長を務めたルドルフ・F・ヘス(ロマナス・フアマン)。
「彼から完全な自白を取れ」 と指示され、アルバートはヘスが収監されている刑務所へ向かう。 
取調室で対面した2人。 ヘスがなかなか口を開かないため、アルバートは録音機を止め、そして他の人間を出て行くように指示をする。 そして内ポケットから指輪を取り出し、ヘスに渡した。
改めて尋問を開始するアルバート。 彼はナチス政権が強制収容所の囚人に強いた 「働けば自由になる」 というスローガンについて、本当に信じていたのかと尋ね始める。 ヘスは 「働くことで罪深い人生から救われる」 と答えるのだった。
連日尋問は続く。 ヘスは1934年6月にナチス親衛隊に加入した。 そしてアドルフ・ヒトラーの側近ハインリヒ・ヒムラーから強制収容所での仕事を勧められ、ザクセンハウゼン強制収容所に勤めるようになる。 そこでヘスは親衛隊の将軍テオドール・アイケに会った。
彼はヒトラーの思想や命令に違反する者は、たとえ家族であっても許さない男だったそうだ。 ヘスは、内心ではアイケが求める強制収容所の姿に疑問を持っていたが、保身のために何も口にしなかった。 ザクセンハウゼンからアウシュビッツへ異動になったヘスは、すぐに所長の地位に就く。 アウシュビッツでの任務は、古い建物を収容施設に変えることだった。 そこで録音機を止めたアルバートは、「内心どう思ってた?」 とヘスの本音を聞き出そうとする。 そこでヘスは 「私は別人となった」 と答るのだった。
以前のようには人を信じられず、疑い深くなったと自らの変化を振り返りだすのだった・・・

今作はイスラエル映画、地味で、淡々と語られるだけの作品ですが、これはなかなか深い作品です。
監督はエレズ・ペリー、作品はこれだけのようです。
主演というかほとんど二人しか出てきません。 アルバート役はマチェイ・マルチェフスキ、彼も今作以外クレジットはありません。
そしてヘス役はロマノス・フアマン、彼もまた他作品は見当たりません。

物語は、終戦直後のポーランドが舞台です。 ドイツ語が流暢だということで、アルバートに白羽の矢が立ったらしく、彼はある男の尋問を請け負います。 それがアウシュビッツで長く所長をしていたヘスという男でした。 そしてそこで行われたことを彼に告白させていくんです。
映画としてはこれだけが続いていくんですが、ヘスにうまく証言をさせようと、絵を飾り、時にはテープを止め、ふたりっきりになり、短い期間ですが、だんだんとある種信頼感をを持つことで、証言をしていき、核心になって行きます。

今作は、へスが処刑されるまでつけていた日記が元になっているそうですが、あのホロコーストを行ったドイツ人、ナチの親衛隊、何かその一端が感じられるとともに、実直で真面目な裏に、裏切ることさえ許されない恐怖に突き動かされていた面さえあるのかもと思われます。
再現シーンなどなくとも、見ていて実感を伴う作品でした。

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ある男が派遣される

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捜査官兼判事のアルバートだった

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彼の相手はヘス

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アウシュビッツの所長を長く勤めた男だった

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しかし無口なヘスに苦労するアルバートだった

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