anttiorbの映画、映像の世界

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ヤクザと憲法

2016年作品、圡方宏史監督。

暴力団対策法、暴力団排除条例が布かれ、ヤクザは全国で6万人を割った。 この3年で2万人が組織を離脱した。 しかし数字だけでは実態はわからない。
ヤクザは、今、何を考え、どんな暮らしをしているのか? 大阪の指定暴力団 「二代目東組二代目清勇会」 にキャメラが入る。 会長が15年の実刑判決を受けた殺人事件は暴対法のきっかけだとも言われる。 組員の生い立ちとシノギ、部屋住みを始めた青年と実の子のように可愛がるオジキ、そして、組員の逮捕、家宅捜索の瞬間がやってくる。
会長は 「ヤクザとその家族に人権侵害が起きている」 と語りはじめた。 ヤクザと人権。 一体、何が、起きているのか?・・・

暴力団にカメラが入る、よくあるようでない映像がこれですね。
監督は圡方宏史、彼の経歴は “1976年生まれ。 上智大学英文学科卒業、98年東海テレビ入社。 制作部で情報番組やバラエティ番組のAD、ディレクターを経験したのち09年に報道部に異動。 遊軍としてメイン企画コーナーのVTRを担当する。 11年、12年に日本の農業や交通死亡事故をテーマにした啓発キャンペーンCMなどを製作。” ということです。 他のドキュメンタリー製作にも参加していますね。

カメラはある暴力団に密着します。 人によっていかにもの怖い人もいる半面、静かにしていると一見わからない人もいる感じです。 ソフトな感じの冒頭部分から、ある一人の人物にカメラは密着します。
彼が清勇会の会長、はじめはおとなしい感じの人間に見えるんですが、組員の人間の気の使いようが物凄いんですね。 そしてだんだんにじみ出てくるような凄味がカメラからも伝わってきます。
そしてシーンは、暴力団と、その対策の歴史、法規制の歴史の説明に入るんですよね。
全国で、暴力団員が減少していく中、カメラは逆に暴力団に入ってきた若者も映し始めます。 逆にほとんど一般人のようで、事務所の事務員のような感じ。
会長が夜の街に繰り出し、馴染みの飯屋に入った時、そこの女将が面白いことを言います。 物騒なこの地区で、何かあった時頼りになるのは警察ではなく、会長さんなんだと。 義理人情に篤い任侠の世界が、昔の映画の世界の一面がまだ残っている。
そう言えば阪神大震災の時、真っ先に炊き出しをしたのが、地元の暴力団でしたね。
社会は表と裏がある、表の顔をして裏でダークなことをしていることもある半面、逆の部分もある。 人間社会は、そうやって成り立っているんではと感じた本物の密着ドキュメンタリーでした。

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