羽田空港、国際線発着誘導員の寺田辰弥(萩原健一)は、奇妙な新聞尋ね人欄の呼びかけに誘い込まれるように大阪北浜の諏訪法律事務所を訪ねた。 そこで辰弥は母方の祖父井上丑松(加藤嘉)に初めて会うが、丑松はその場で誰かに毒殺される。
辰弥は見えない血縁の糸にたぐり寄せられるように未亡人森美也子(小川眞由美)の案内で、備中神代駅から車で辰弥の生れ故郷八つ墓村に向かった。 途中の、長峰峠から連なる山々は、多治見家の所有であり、辰弥はその豪家の後継者であると聞かされる。
辰弥はまだ乳呑児の頃、母の鶴子(中野良子)に抱かれて八つ墓村を去った。 鶴子は神戸で再婚したが、辰弥が小学生の時、辰弥の生地と実父の名を明かさず、病死した。 義父が新しい妻を迎え、次々に弟妹が生れると、辰弥は家を出た。 美也子は多治見の分家にあたる森家に嫁したが、夫に死別、いまは関西で手広く事業を経営していた。 その美也子が八つ墓村の由来を語る。
永禄九年(一五六六年)毛利に敗れた尼子義孝(夏八木勲)は、山峡の谷間をはい上がり、この村にたどりついた。 義孝ら生残った八名は村外れの荒地を拓いて住みついたが、村祭の夜、村民に欺し討ちにあい全滅した。 その時義孝は、この恨みは末代まで崇ると、呪いの言葉を吐きながら死んだ。
落武者謀殺の中心人物であった村総代の庄左衛門(橋本功)は毛利家から莫大な山林の権利を与えられ、一躍近郷きっての財産を得て現在の多治見家の基礎を築いた。 だが、ある夏の日、庄左衛門は突如発狂し村民七人を斬殺、自ら自分の首を斬り飛ばした。 村人は落武者の崇を恐れ、義孝ら八人の屍骸 を改めて丁重に葬り祠をたてたことから、村は八つ墓村と呼ばれるようになった。
辰弥が村に入ると、いきなり八つ墓の祟りが起きると濃茶の尼(任田順好)が叫びだす。
井川丑松の野辺の送りが済んだ翌日、辰弥は多治見家の城郭のような屋敷で、病弱な兄の久弥(山崎努)、姉の春代(山本陽子)、この家の実権を握る双生児の伯母小竹(市原悦子)、小梅(山口仁奈子)らに引き合わされた。 しかし、久弥は辰弥と面談中、突然吐血して死んでしまうのだった。
屋敷の離れに起居している辰弥は夜中に小竹と小梅が鍾乳洞を訪れるのを知った。 そしてその洞窟の中で辰弥は異母姉の春代と共に、鎧武者姿の多治見要蔵(山崎努<二役>)を見た。 要蔵は春代と辰弥の父であり、その姿は死蝋化していた。 春代から二十八年前の戦慄すべき事件が語られるのだった・・・
今作は、結構なホラー描写が凄いですね。 最後洞窟を逃げる辰弥、追う美也子のシーンは結構当時は怖いシーンでした。 後に東宝でも作られましたが、その時はだいぶ現代的な感じだったことが思い出されますね。 角川が東宝意外と組んだ横溝作品でしたね。