2016年作品、スティーヴン・カンター監督、セルゲイ・ポルーニン出演。
様々な憶測が飛び交う中、彼はミュージシャン、ホージアのグラミー賞年間最優秀楽曲賞ノミネート曲 『Take Me To Church』 のミュージックビデオで姿を見せた。 写真家デヴィッド・ラシャペルの監督のもと踊るポルーニンは見るものを惹きつけ、動画サイトyoutubeで1700万回以上再生され、彼を知らなかった人々をも熱狂させた。
本人や家族、関係者のインタビューを織り交ぜ、ヌレエフの再来と謳われる才能と大きな苦悩を抱えた彼の心を浮き彫りにする・・・
地元の2番館での公開を待っていましたが、時間が取れたので都内で延長公開をしているので鑑賞してきました。 ユナイテッドシネマ系では同じくロイヤル・バレエ団出身の熊川哲也の公演が上映される機会が多いんですが、さすがに見た事はありません。
しかし今回はあまりの高い評判で、セルゲイ・ポルーニンとはいったいどんな天才なのか? 大変気になりました。
ウクライナ出身という事で、苦労した少年時代、体操の道か、バレエの道かの分岐点、そして家族一丸となって彼のために働き費用を捻出、そしてイギリスに。
一人のバレエダンサーの生い立ちとしてもドラマ性がありますが、驚異的なのは彼の見事な身のこなしですね。 幼いころから抜群の体の柔らかさを持って生まれたそうですが、私はそれにプラス強さを感じました。
自分に、周りに、どんどん満足できず、自分を失っていくセルゲイですが、彼の言葉で 「怪我をしたらそこで終わり」 それは、幼いころは家族に対してそれは避けなければならない事でしたが、途中から逆に怪我を望んでいるような感じに変化していくんですね。
そうすれば今の状態から解放される、しかし彼に備わったのはしなやかさと強靭さ、もちろん体の痛みや、精神的な浮き沈みはありますが、決定的な大怪我をしない。「無事これ名馬」 レベルの違う高見でダンスし続けられる体の強さを感じますし、だからといって美しさを決して失わない。
バレエに門外漢の私が見ても、見事な “美” でしたね。
若くしてプリンシパルになった彼目当てに、2年先までのチケットを買うというファンがいたのも、全く笑えない至極当然のことに感じます。
春にこの映画が公開されることで日本に来日したそうですが、いずれ彼が率いるバレエ団で日本公演が開かれるといいですね。
これはまた見事な美しいドキュメンタリーであり、生き様も凄かったです。