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日本一のショック男

1971年作品、坪島孝監督、植木等主演。

東北の片田舎、霜焼村大字出唐子集落にも過疎の波が押しよせて、村人が一組二組と去っていく。 それを懸命に止める村の巡査日本一作(植木等)の努力も空しく、出唐子村は廃村と化してしまった。
ある日、一作はパトロール中、東京からやってきた山上春子(酒井和歌子)の失恋自殺を止め、その恋を成就させてやろうと、自ら春子を連れて上京する事になった。春子は実は一作が昔恋をした女性に瓜二つだった。 しかし戦争に行っている間に病死してしまったのだった。
彼は、村の出世頭佐藤茶助(加藤茶)が働くキャバレー “ポルノ” に出向くが、すでに茶助はおらず飲代数万円を請求される。 金のない一作はしばらくそこで働くことになった。
彼は客の飲み残しビールを詰め直し、春子の兄とも知らずラーメン屋の啓太(谷啓)におろし始める。 そればかりか店のお客にも出したりで、たちまち売上げが倍増、いちはやく支配人に昇格し た。
ところはかわって、金丸化学八木沢社長(北竜二)をひょんな事から助けた一作は、社長秘書になってしまう。 そして金丸グループ提供のテレビ番組を、自分の故郷をバックに一作自身の初恋物語にすりかえてしまう。 これが当り、金丸グループはイメージ・アップ。
製品は売れに売れ、一作を重役にという話まで出たのだった…

前作に引き続き監督は坪島孝、これが 「日本一の~男」 最後の作品になります。
今作の植木等は、警察官。 前作が教師で、今作が警察官、前々作が任侠でしたから、ここ2作は固い路線の職ですね。 またここ2作に加藤茶が出演しているのが目を引きますし、クレージーからドリフへの時代の流れも感じます。
加藤茶個人としての映画出演はこの後しばらくありませんが、ザ・ドリフターズとしては、この後松竹とがっちり組んで、「全員集合」 シリーズを定期的にやり始めるので、東宝のこの作品に加藤茶が出続ける、または彼を主役に据えて東宝で撮ることは、難しかったでしょうね。
物語は、この後、化学会社においてどんどん出世していくという展開になっていきますが、ここにも世相なんでしょうか、公害問題が描かれてています。 面白いのは、この会社の社長が、一作のおかげで儲かった時に、しっかり設備を整えて汚れた廃水を出さないようにするのはできると断言するんですね。
要はお金を掛ければ問題はないことをこの時代にあっさり言うところが、何か当時各所であった公害問題を皮肉っている感じがするんですね。
これで植木等の一連のシリーズは終わりですが、時代に乗ったスイスイと泳いでいくお話もそろそろ打ち止めに時期だったのかも。

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過疎化が止まらない霜焼村大字出唐子集落

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春子を連れて東京に

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テレビから流れるヒット曲

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しかし意外な展開に

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