東北地方の田舎町。 夏休み、鈴木友子(上野樹里)たちは数学の補習のために学校にいた。 やる気の出ない友子が外を見ていると、吹奏楽部のバスが出発するところだった。 その日はその高校の野球の試合の日で、応援に行く彼らは補修免除なのだ。
バスが出た後、弁当屋(森下能幸)の軽トラが着いたが、運転手はもうバスが出たかと聞き、困ったと嘆いていた。 次の配達があるというのだ。 数学教師の小澤忠彦(竹中直人)に自分たちが届けると許可を取り、それは補習をさぼりたい一心からだったが。
無事、許可を得た友子たちは、遠足気分で出かけるが、途中電車を乗り過ごし、河原で水遊びしたりしながらのんびりと弁当を届け、球場を後にする。
ところが、真夏の炎天下に長時間さらされた弁当はすでに傷んでいて、それを食べた吹奏楽部員が次々救急車で搬送されたことを、友子は夜のニュースで知った。 野球部は試合に勝ち進むのだが、次の試合に吹奏楽部は出られそうもない。 行きの電車で1個つまみ食いを友子たちがしたおかげで、ただ一人弁当を食べれなかった中村拓雄(平岡祐太)は、緊急で部員募集をかける。
彼は、弁当をつまみ食いしたこと、道草を食ったことを誰にも言わない代わりに、友子たちを臨時の吹奏楽部員に当てはめるのだった。 急遽集められた友子をはじめとする落ちこぼれ13人。
しかし吹奏楽をするには人数が足りない、募集を見て弾けるんならと言って入ってきたギターの渡辺弘美(関根香菜)とベースの山本由香(水田芙美子)、そしてリコーダーを持って現れた関口香織(本仮屋ユイカ)の合計16人体制を見て、拓雄は野球部の応援の為にビッグバンドを結成することにするのだった。
そして彼女たちは猛特訓を開始するが、やっと演奏の楽しさを知った矢先、吹奏楽部の部員が戻ってくる。 食あたりが治って何とか間に合ったのだった。
せっかくやる気が出てきたときに、はじめは強がっていた16人だったが、音楽室を出ると悔しさのあまり号泣する。 拓雄も吹奏楽部を辞めていて、彼は自分でキーボードを買ってしまっていた。
17人の夏休みは、不完全燃焼のまま終わっていくのだったが、一度知ったスウィングの楽しさは忘れられるものではない。 友子は、使わないパソコンと、ゲーム機を売って中古のテナーサックスを買い、ひとりで河原で吹きはじめると、向こう岸に拓雄が同じように一人で練習をしていた。
そして仲間を集め、バイトをして、楽器を買う資金を貯めることになっていくのだった…
矢口監督と言ったらこの作品! 何回見たことか、やっぱりこの作品で発掘された上野樹里がぴか一でしたね。 オーディションの時、“友子”役なんて絶対にいないと思っていたそうですが、彼女がズバリで監督自身、スタッフと一緒に 「友子がいた!」 と大喜びをしたそうです。
そののちの上野樹里の女優として有名になっていく記念碑的な作品ですね。 彼女は 「青空エール」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14373565.html で吹奏楽部の教師役をやっているんですが、なんか成長をいろんな意味で感じましたね(^^)
この作品は多くの若手実力派女優を輩出した作品としても、大きな意義のある作品。 彼女以外にもトランペットの斉藤良江役で貫地谷しほり、トロンボーンで本仮屋ユイカ、ちょっと変わった存在でドラムスの豊島由佳梨、またただ一人の男子生徒の平岡祐太もいろんな作品に出演しています。
とにかくこの作品は単純に面白いだけでなく、ジャズが好きになる入り口にもなる作品ですね。
実際この映画のヒットで、ビッグバンドジャズのCDが売れ出したという事もあり、とっつきにくいジャズが若い世代にも染み入った作品です。

弁当を届けに行くが寝ていて先の駅へ






