2015年作品、チャン・ヤン監督、ヤンペル、ニマ、ツェワン出演。
チベット自治区の最も東側にあるマルカム県プラ村。 父を亡くしまだ四十九日も経っていないニマの家では、法事が行われている。
父の弟ヤンペルは、思い残すことなく死ぬ前に聖地ラサに行きたいと願っていた。 そんなヤンペルの願いを叶えるために、ニマは巡礼の旅を決意する。
やがて老人、妊婦、幼い少女タツォら同行を願う村人が集まり、総勢11名で出発。仏教でもっとも丁寧な礼拝の方法のひとつである五体投地をしながら、聖地ラサ、さらには聖山カイラスまでの2400kmもの道のりを1年かけて行く・・・
ほぼドキュメンタリーの作品ですが、一応ドラマ的な部分もあります。
ここを目指す家族は、チベット自治区の最も遠い村に住んでいるんですね。 ニマという家主が、いままで苦労して家族を生活をになってきた叔父のため、聖地に連れていく旅を決意するところから物語りは始まるんですが、チベット族としての生活はこういうものなのか? もちろんいまの時代の話なんですが、ほとんど自然な形の生活をしているんで すね。
旅を決めたところから家族一致で用意を始めます。 最年少の娘は小学生の高学年くらいでしょうか? 総勢11人で出発、大所帯なんでトラクターが牽引して荷車を引いていくんですが、それを運転するのがニマ、そして何か電電太鼓みたいなものを回しながら歩くのがヤンペル。
しかし驚くのは巡礼の旅なんで、あることをしながらラサを目指すんですね。 それは“五体投地”、それは両手・両膝・額(五体)を地面に投げ伏して祈る、仏教でもっとも丁寧な礼拝の方法。 チベットには今も聖地巡礼を、五体投地で礼拝しながら、長い時間をかけて進んでいく人々がいる。
「しゃくとり虫のように進む」 と説明されるように、やってみれば、いかに進むのが大変かがわかりますね。
ある 部分だけだと思ったら、ずっとそれを繰り返し進んでいく。 途中いろいろあるんですが、彼らはそれを愚直にやり続けます。
旅の途中、出産あり、事故あり、さまざまなことが起こりますが、家族の絆は固いんですね。
そして悲しいラストが、でも何かすがすがしい厳かな感じさえ漂う作品でした。