2015年作品、エイドリアン・クワン監督、ミリアム・ヨン主演。
都会の有名幼稚園であるビデオを見ているのは、そこに息子を通わせている両親と、園の経営者の4人だった。 そこに映っている少年はマーティンと言い、発疹が顔にできていた。 小さいながら、懸命に習い事をしているが顔からは精気が失せている映像だった。
特別クラスから一般クラスに移った方がいいという園側の説明に、納得しない両親。そこに園長ルイ・ウェホン(ミリアム・ヨン)がやってきて、これ以上子供に無理をさせない方がと言うが、納得しないのだった。 この両親はこの幼稚園に多額の寄付をしているので、結局経営者たちは特別クラスに残し様子を見ると言ってしまう。
ルイはそんなエリート教育に疲れて退職することに。
一方、博物館の展示デザイナーの夫ドン(ルイス・クー)も、博物館がリアルな模型よりヴァーチャルを重要視することに失望していた。 数年かけて精巧な模型を作ってきたが、あっさり予算を削られ、CGでの映像に切り替えるという決定がなされる。
結婚10周年を迎えたある夜、ルイが退職の決心を夫に伝えると、ドンは自分の仕事の契約が切れる半年後に2人で世界一周の旅に出ようと提案した。 ドンの夢・世界の都市の博物館を巡る旅、それは二人の夢でもあった。
仕事を辞めたルイは、生きがいを失い、料理も適当になり、スポーツジムに行ったり、ムエタイを習ったりをしていても身が入らない。 そんな時、テレビのニュースで、園児も資金も足りず、園長や教員が辞職したユンティエン(元田)幼稚園のことを知る。 代理教員1名と経済的理由で転園できない園児5名が残され、月給4500香港ドルで園長兼教員を募集しているという。
そんな元田村幼稚園を訪ねてみたルイだった。 縁の門はガタが来て不用心、そして窓から覗くとマスクをした少女5人の姿があった。 マスコミにさらされ、大人の顔を見ると 「悪い人が来た!」と隠れてしまう。 しかし窓越しに、いろんな質問をする中5人の笑顔が見れた時、彼女の心は決まる。
彼女はすぐに元田村幼稚園の理事長(スタンリー・フォン)のところに行き、4500ドルの事、いろんな園の手直しは園長がやること、もちろん掃除も聞く。
その日の夜、しっかりした料理を作り、ドンの機嫌を取ると、ドンはそこから察し何か話したいことがあるのか?と彼女に聞く。 ドンは、2人の夢である世界旅行や腫瘍の手術をしたばかりのルイの体調を気遣うが、ルイは、子供たちが転園するまでの4ヵ月だけとドンを説得する。
「もう決めたんだろう。」 ドンは認めざるを得なかった。
さっそく彼女は園長として1日目を迎えることになるのだった。 しかし付近の住民は、幼稚園がいつ閉演するか、賭けの対象にしていた。 さらにここに残った5人の女の子の園児たちは、残るべき理由をそれぞれ抱えていたのだった。
園長となったルイは、資金不足のため、5人いる園児のうち1人が今年で卒園した後、新学期に園児を5名確保できなければ閉園が決定していることを知る。 ルイは転園先を探しながら、必死に園児と向き合い、そしてその家族と接していくのだった…
いやーこの作品も素晴らしかった。 監督はエイドリアン・クワン、私は初鑑賞です。そして主演はミリアム・ヨン、香港のビッグスターなんですね。 歌手でもあるそうですが、良い女優さんですね。
物語はここからルイ先生の奮闘記になっていきます。 初日からして、まずビシッと5人が揃わない。 おじいさんのような父親、なぜか無愛想なおばさんが連れてきたり、タクシーで姉妹を連れてくる母親もいます。
彼女がまずはじめにやったことは、5人からマスクを外させること。 なぜマスクをつけているのか? それは顔を隠すためなんですね。 いきな りテレビで取り上げられ、マスコミが来たり、ここの土地を狙っている業者が来たりする、おそらく嫌がらせも多少はあるのかもしれませんね。
しかしルイ先生は、彼女たちを優しく諭し、マスクを取らせ笑顔を与えるんですね。 しかし、その日彼女の車で二人の園児を送ることになりますし、次の日からもう登校しない園児が出てきます。
共通しているのは貧困ですね。 そして多くの園児が通おうとする魅力ある幼稚園では決してないことですね。 しかしルイ先生はへこたれません。 必死に各家庭を回り、話しを聞いてあげる。 そして、彼女が出すある宿題が、大人の心もほぐしていくんですね。
ここに描かれているのはやはり実話なんですね。 そしてそれぞれモデルがルイ先生にも、園児 たちにもいます。 そしてこの5人の園児役の女の子たちが実に上手かった。 最後は号泣します。
これは名作!
お互い仕事を辞め、世界一周旅行に
しかしある決心を死夫に告げるルイ
そして元田村幼稚園の園長に
彼女は活力を取り戻し
園児たちも笑顔を取り戻すのだったが・・・