anttiorbの映画、映像の世界

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海のふた

2015年作品、豊島圭介監督、菊池亜希子主演。

都会生活の中、ふるさと西伊豆の海辺の小さな町に帰ってきたまり(菊池亜希子)、しばらく歩いて行くと、幼馴染みのオサム(小林ユウキチ)と再会する。
まりにとってオサムは何でも話せる男友達、配達中のオサムの自転車に乗って、彼女は仕事を辞めて、ここ故郷でかき氷屋をやると宣言をするのだった。
自分がずっと変わらずに好きなものは “かき氷” だと気付いたからだとまりは言うのだった。
海も山も人も、寂れてしまっていたが、まりはささやかな夢と故郷への想いを胸に、ここで大好きなかき氷の店を開くことを両親(鈴木慶一、天衣織女)に言うが、本当に店をするのかこの時点ではまだ半信半疑の両親だった。
すぐに店舗を探し、自らペンキを塗り、家具を配置し、改装をし始める。
そんな中、ある日母から大学時代の友人の娘であるはじめちゃんが、しばらくうちに滞在することになったから面倒を見てくれ、と頼まれる。
はじめちゃんは一緒に暮らしていたおばあさんを亡くしたばかりで、心に傷を抱えていた。 たった一人で現れた彼女は、顔に火傷の痕が残っていた。
開店準備を整えた店内。メ ニューには、糖蜜、みかん水、エスプレッソだけ。 自分が本当に良いと思えるものだけしか出したくないというこだわりのメニュー。 そしてはじめちゃんがお客さん第一号。 
まりははじめとともにかき氷店を切り盛りしながら、それぞれの生き方を探していくのだった・・・

昨年公開された菊池亜希子の主演作、彼女の主演作は、「森崎書店の日々」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13296761.html を見ていますが、私はいい雰囲気を持った自然な演技をする女優さんだとおもいました。 この作品も、そんな彼女の良いところが出ている作品でした。
監督は豊島圭介、近作は 「ヒーローマニア-生活-」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14134423.html 過去作はホラー物、怪奇物を多く撮っていますし、「怪談新耳袋」シリーズ http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13889296.html http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13892148.html に多く参加しています。
物語は、頑固一徹なかき氷屋を開店したまりと、それを手伝い始めたはじめのお話ですね。 ちょっと田舎に行くと、今の日本はどんどん寂れて行ってしまうんですね。強烈な目玉産業、観光が無い限り、若い人間はどんどん出て行ってしまい、そこで生活自体がしづらくなってしまいます。
まりも、そんな気持ちで都会に行っては見たものの、彼女はなにかを感じて故郷に戻り、お店を始めるんですね。 おそらく彼女は都会でいろんなことが嫌いになって行ったんでしょう。
そしてはじめも心に大きな傷を持ってここに来ました。 それだけでなく顔に大きな火傷の跡も。 かき氷屋に来た若いお客はそんな顔の傷を無神経にいじるのに、まりは腹を立てますが、はじめは上手くかわすんですね。
しかし心に大きな暗闇を持っていたのは二人だけではなかったんですね。
かき氷屋で生活していけるのかは誰もわかりませんが、夢を持つのは今しかできない、そんな感じの若い3人を照らし出す、なかなか良質な作品でした。

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故郷に戻ったまり

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顔に傷がありたった一人になったはじめ

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かき氷屋を始める

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両親が食べにくる

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暇な店、でも二人は自分たちの空間を見つける

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