anttiorbの映画、映像の世界

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ストリート・オーケストラ

2015年作品、セルジオ・マシャード監督、ラザロ・ハーモス主演。

ラエルチ(ラザロ・ハーモス)は、サンパウロ交響楽団の演奏者の最終審査に望んでいた。 幼いころ “神童” と呼ばれていた彼も、今は伸び悩んでいるヴァイオリニスト。 このオーディションでも手が震えて演奏すらできなかった。
家に帰ると携帯が鳴り、父から結果を問い合わせる電話だった。 しかし彼は落ちたとは言えず、延期になったと知らせ心配しないでくれとしか言えなかった。
4人でカルテットを組んでいたが、歯がゆい自分の結果につい他のメンバーにあたってしまい、カルテットの活動もできなくなってしまう。
収入が途絶え、このままだと仕送りもできないどころか家賃も払 えなくなる。 そんな時、友人からの紹介で、低賃金ながらNGOが支援するスラム街の子供たちのヴァイオリン教師の口がある事を聞く。
背に腹は代えられないラエルチは、さっそくそこに行き校長のアジーラ(サンドラ・コルベローニ)からあるクラスを受け持たされる。 しかし与えられた場所は空きスペースを金網で囲っただけの場所だった。 屋外での教室に驚く以上に、まったくひどい演奏に驚嘆するラエルチ。 しかしひどいのは演奏だけでなく、彼らの荒んだ態度だった。
生徒たちが楽器を弾き始めるが、演奏以前に座り方から教えなければならないレベルで、携帯電話が鳴れば出る、気に入らないと喧嘩が始まる、話しにならない状態にうんざりするラエルチだったが、終わった後調律をしてほしいと言ってきた少年・サムエル(カイケ・ジェズース)の演奏に彼は一つの光を見出すのだった。
初めて教えることになった時、少年院帰りのVR(エウジオ・ヴィエイラ)が授業中にスナック菓子を買いに行くのを見て、ラエルチは遂にキレてしまう。 しかし、校長に給料を前払いするとなだめられ、渋々我慢する。
その夜、帰宅途中、二人組のギャングにヴァイオリンを弾いてみせろと銃を突き付けられたラエルチは見事な演奏を披露し、二人を黙らせる。 翌日、先生が脅されたという噂は生徒たちにあっという間に広まり、ギャングを黙らせた音楽の力に驚く。
子供たちの方にも、何かを感じた時だった。
そしてラエルチと子供たちの練習が本格的に始まるのだった…

これも実際のお話がモデルになっているという事です。 ちょうど今、リオデジャネイロでオリンピックが行われていますが、 ブラジルの治安を心配する声が大会前から上がっていましたね。
そして、実際に被害があるようで、特に日本人は裕福だと思われているんで気を付けるよう、いろんなところで警告されていました。
一番怖いのがスラム街、貧しい人たちが必死に這い上がろうともがいている地域、これはサンパウロでの物語でした。
監督はセルジオ・マシャード、他作品で、脚本、助監督をして今作で初監督をしています。 主演はラザロ・ハーモス、他作品では見たことはありませんが、ブラジルでは有名な俳優さんみたいで、日本未公開作品では出演歴があるようです。 ヴァイオリンの演奏は吹き替えではないかと思われますが?
ラエルチにとっては、仕方なく始めた子供たちへの指導ですが、子供たちも初めはまた新しい先生が来たくらいの感情でした。 しかしヴァイオリンの演奏でチンピラを黙らせたことから、生徒たちの目が変わります。
クラスの演奏を引っ張っているのは、図抜けて上手いサムエルなんですね。 そして彼に対しては家庭の問題まで何とかしてやろうとだんだん入り込んでいくラエルチ、しかしほかの生徒もだんだん弾けるようになり、音符も読めるようになってくると、初めて自分たちにも何かできるのでは? という気持ちが湧いてくるんですね。
でも、お話はそううまくは行きません。 ましてやスラムであり、常に危険が隣り合わせ。 いくら自分が頑張ろうとも、周りには危ない輩がうじゃうじゃしているんですね。
ラエルチの物語ですが、スラムでもがいている生徒たちのお話でもあります。
ラストの二つのコンサート、それぞれが素晴らしい。

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カルテットも壊れてしまう

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音楽を教える仕事をすることになるラエルチ

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そこにいたサムエルとVR

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そしてだんだん弾けるようになる生徒たち

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そしてある人のための演奏会に向かって

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