1976年。 八百屋の2階に下宿している天涯孤独の高校生の大介(石田卓也)は、ある日不良学生にからまれていたサキ(清水富美加)を助ける。 そんな大介に一目惚れしたサキは、熱烈なアタックを開始する。 大介は、特にサキのことが好きで助けたわけではなく、弱い者いじめに我慢が出来なかっただけだった。
絶えずつきまとうように、接してくるサキに、初めは調子が狂いっぱなしだった大介も、いつしか彼女に心を開くようになる。 一緒に行った映画で号泣していたのは大介の方だった。
やがて二人は相思相愛の仲へと発展していくのだった。
1978年。 19歳になった大介とサキは、サキの両親(板尾創路、中野公美子)に結婚の承諾をもらいに行く。でも、父親は、学歴も無く、未成年の二人を結婚させるのには猛反対だった。
しかし大介の必死な説得、親代わりの八百屋の橋本梅吉(武田鉄矢)も乗りこんできて、最後はサキの必死な訴えに、ついに両親も折れるのだった。
79年元旦に婚姻届を提出、どうして元旦なのかと聞く大介に、サキは絶対忘れない日、それが元旦だからと言うのだった。
サキはどうして大介を選んだのか? それはサキは夢なんか持っていない少女だったが、両親を早くに失いたった一人の大介には、バイク店を開くという夢を持っていたからだった。 いつしかそれはサキの夢にさえなっていくのだった。
だがお金がなくて結婚式ができず、サキはショーウインドウのウェディングドレスを憧れの眼で見つめる。 大介はそんなサキを必ず幸せにしてやると誓うのだった。
そして二人に時計屋の主人(小松政夫)が囁く。 「振り子時計は繊細なんだ。 右、左、動く振り子が正確な時を刻む。 少し でも振り子がバランスを崩すと正確に動かない。 振り子時計は夫婦みたいなもんだ。 共同作業で何年も何十年も時を刻んでいくんだからね」と。
振り子時計を値切って買う二人、そして二人の夢のバイク屋を何とか開くまでになったのだったが…
これは劇場で見そびれた作品、原作は芸人の鉄拳のパラパラ漫画なんですね。 彼の芸を見たことがある方も多いと思いますが、彼の芸風はスケッチブックを持ち、自筆のイラストを見せながら滑舌の悪いトークで 「こんなものはいやだ」 というフリップネタ(めくり芸)をするんですね。
主にブラックユーモアを基本としていましたが、近年はお笑い芸人というより、パラパラ漫画家として、芸人の枠を超える活躍をしています。
鉄拳の人生もドラマのようで面白いんですが(^^)
監督は竹永典弘、TBSの社員で 「金スマ」 のディレクターという事らしいです。 主演は、実はこの後成人した大介を中村獅童、サキを小西真奈美、そして一人娘の心晴を大きくなった時が松井珠理奈、子供時代は藤田彩華が演じています。
やっと手に入れた自分たちの城のバイク店、しかし幸せは突然反転していくんですね。 これが何とも切ない。 特に大介は義理人情に篤いんですが、短期で真っ直ぐ、良い時は良いんですが、ひとから騙されたことはあまりなかったんですね。
この物語、とにかくサキの人間性が素晴らしい。 菩薩のような存在なんですね。 こういう女性を妻にできること自体、大介は幸せ者なんですが、それに気が付くのはずーっと後のこと、気が付くのがあまりにも遅かった。
泣ける映画という事ですが、どちらかというとドラマ部分はつらさが先行してしまいます。 しかしエンディングのパラパラ漫画が、もしかしたら一番泣けて、ファンタジーかもしれません。
助けてもらったサキは、大介に猛アタックを開始する
そして大介もサキが好きになっていく
サキの両親を説得し、心晴が生まれる
親子3人の幸せ
しかしそれも長くは続かなかった…