ロンドンの南部、ケニントン地区の公務員である44歳のジョン・メイ(エディ・マーサン)の仕事は、孤独死した人の葬儀を執り行うことである。 几帳面な彼は死者の家族を見つける努力を怠らず、その人のために葬礼の音楽を選び、弔辞を書く。 規則正しい仕事と生活をしながら、ジョン・メイはいつもひとりだった。
今日もたった一人で、孤独に亡くなった方の葬儀をし、一人で見送ったが、その後、埋葬されない遺骨の一つを、処分するジョンだった。 でもまだまだ未埋葬の遺骨がある、でもそれをごみのように処分など彼は決してしなかった。
彼は亡くなった者の最後にいた住まいに行き、遺品の中から死者の今までの経歴、生い立ち、遺族などがわかる遺品を集め、調べたうえで、調査が終わり引き取り手の無い持物は業者に処分させるのだが、写真だけは、彼はアルバムに大切に保存するのだった。
ある日の朝、ビリー・ストークという年配のアルコール中毒患者の遺体が、ジョン・メイの真向いのアパートで発見される。 自分の住まいの近くで、その人を知らぬままに、その人が孤独死したという事実にショックを受けるジョン・メイ。
さらにその日の午後、彼は上司のプラチェットから呼び出しを受ける。 そこに一人の女性がいて、これから彼女にジョンの仕事をやらせると言い、仕事に時間をかけすぎるという理由でジョンは解雇を言い渡される。
そしてビリーの事が、彼の最後の仕事になるとも言われる。
そして彼はこの最後の仕事に、今まで以上の情熱をかけ、生前のビリーの姿を追い始めるのだった…
ロードショー中はなかなか見ることが叶わなかったこの作品、ギンレイにかかりました。 あまりにもまじめで誠実な仕事ぶりのジョン・メイ、丁寧すぎるほどの仕事と、彼自身の几帳面さがもう開始10分でわかります。 生活も質素で、仕事柄あまり笑顔もありません。
しかし最後の仕事になった、ビリー・ストークに対しては、自分の最高の友の死のように、少ない手がかりをすべて歩き回り、仮病を使って時間を作り、さらに3日の調査延長まで直訴するんです。
ラストは悲しいですね。 あまりにも可哀そうな結末、会場でも啜り泣きを多く聞きましたし、ジンワリ涙があふれてきました。
でも、見ている途中、ジョン・メイというのは神様の使いなのでは? と思って見ていました。 そして人間としての喜び、幸せを感じたとき、もう使命が無くなり、終わり、天に召されたのかな? そんなラストに感じました。
ウベルト・パゾリーニは監督作品はこれだけみたいですが、多くの取材をした中でこの作品を仕上げたらしいですね。 ラストシーンの死者たちの姿が、心に強烈に残る、そんな作品でした(G)