anttiorbの映画、映像の世界

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おやすみなさいを言いたくて

2013年作品、エリック・ポッペ監督、ジュリエット・ビノシュ主演。

土葬の葬儀に参加し、写真を撮っている女性。 アイコンタクトで撮影の許可を取りながら、次々と写真に彼女は納める。 しかし埋葬されようとした女性の目が突然開く。 彼女は生きていたのだ。 生前葬なのか?
そして彼女はある建物に移動し、お祈りを受け、そして体にいろいろ装着され始めた。 それは爆薬だった。 びっしりと装着され、だぼっとした衣装でそれを覆い隠し、車に乗る。
その時、カメラを持った彼女も同行すると言い出す。 検問は無事通過、そして市街地に来たとき、彼女はここで降りると、車から降り、そこで兵士に身分証の提示を求められ、自分はジャーナリストだと身分を示 し、そこを離れる。
しかし兵士は中に乗っていた運転手と、女性を調べ始める。 いてもたってもいられず、彼女は叫ぶ 「逃げて」。 次の瞬間大きな爆発が起き、彼女は吹っ飛ばされた。
意識朦朧の中彼女は立ち上がり、カメラを手に取り2、3枚撮った後地面に倒れて意識を失った。
報道写真家のレベッカジュリエット・ビノシュ)は家族のいるアイルランドを離れ、紛争地帯など危険に身をさらしながら世界各地の問題を取材し、誰も気付いていない現実を伝えようとレンズを向けている。 そんな彼女を理解してくれている夫マーカス(ニコライ・コスター=ワルドー)だった。
マーカスはカブールに飛んできてくれた。 やっと意識が戻り、しばらく入院をしてようやく彼女は家に帰ることができた。 家では長女ステフ(ローリン・キャニー)と次女リサ(アドリアンナ・クラマー・カーティス)が母の帰りを待っていた。 ちょっとまだ体調が戻っていないレベッカは、多少ぼやけているが、ひと先ず家について安堵の表情を見せた。 そして友人夫婦のテレサ( マリア・ドイル・ケネディ)とトム(ラリー・マレン・Jr)も、来てくれていた。
しかし彼女は夫の様子がおかしいことに気がつく。 浮気か?しかし夫は、危険な紛争地域に行く彼女の身を、娘たちの面倒を見ながら、いつ死んだという知らせが入るかと気にしながらの生活に、耐えきれなくなっていたのだった。
そしてさらに、決死の覚悟で撮ってきた写真が、使われなくなりそうだと、ジェシカ(クロエ・アネット)から連絡が入る。 そして彼女はもう戦場に行くのはやめ、家族と暮らすことを決心する。 しかし、娘の参加しているサークルに行った際に、彼女にある依頼が来るのであった…

アフガニスタンの首都カブールでの冒頭のシーン、もうここで度肝を抜かれる映像ですね。 こ れから、自爆テロを敢行しようとする女性に密着取材、そして爆発ギリギリまで同行することによって彼女も瀕死の重傷を負います。
戦場カメラマンの女性を描いたこの作品、彼女はさらにもう一つの紛争地に、この後長女と行くことになるんですね。
レベッカは、決して自分の仕事の話を家族にしませんし、言えるはずもないですね。それは一歩間違うと、あっという間に命を失う仕事だからです。 妻の仕事を理解している夫にしても、彼女の仕事の全貌は話してはいないようです。 でも夫は、彼女のことを敏感に察知していますし、捨て身で仕事を止めさせようとします。
レベッカを演じるのは、ジュリエット・ビノシュ、数々の作品に出演、フランスの代表的な女優ですね。 私はつい最近は 「 GODZILLA ゴジラ」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/11943075.html に出ているのが印象に残っていますが、この社会派作品では凄まじい戦場カメラマンを演じています。
冒頭の生前葬、個々の意味が分かってくると、気が狂いそうになるほどの悲しみと恐怖を感じますね。 そしてこのシーンがエンディングとの対比になっているところがこの作品の肝とされています。
彼女がやらなければならない仕事なのか? 家庭の主婦として生きて行ってはいけないのか?
この対の答えとして、被写体である、被災地の人間、苦しんでいる人間の態度もあります。 彼らは写されることに抵抗がないだけでなく、逆に撮ってほしいという顔をするんですね。 そのことはこのことを誰かに知らせてほしい、そして誰かがやらにゃきゃ行けない仕事なのかもしれない、そういう答えも大いにあり得る、そう感じさせることも画かれています。
命を失う方も多い、戦場に向かうジャーナリストたち。 彼らが伝えようとしなければ、世界から、飢餓、貧困、紛争は無くならないのかもしれませんね。(G)

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過酷な場所に行く彼女

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夫のマーカス

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家族のため、もう仕事はやらないと決めるレベッカ

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家族との時間

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しかし長女とのアフリカ行でふたたび遭遇する

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