anttiorbの映画、映像の世界

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午後の曳航

1976年作品、ルイス・ジョン・カリーノ監督、サラ・マイルズ、クリス・クリストファーソン出演。
 
英国の小さな港町。 夜、少年・ジョナサン(ジョナサン・カーン) は、母アン(サラ・マイルズ) が完全に眠りについたことを知ると家を抜け出した。
息を切らして約束の倉庫に着いた時は、すでに『首領』(アール・ローデス)と仲間は闇の中に集合していた。 『首領』と5人の仲間たちは秘密クラブを作り、互いに番号で呼びあっており、少年は3号だった。 一人揃っていなかったことに彼は怒っていた。 彼は父親の学術書から、SEXの体位の写真集を持ってきて少年たちは物凄く興奮して観ていたが、首領だけは冷めた言葉だった。
深夜の外出は、母親のアンの知るところとなり、部屋に閉じこめられてしまった。怒ったジョナサンが部屋中を荒らしまわった時、偶然に隣の母の部屋を覗くことのできる小さな穴を発見した。
ある日、ベル号という大きな船が入港したのを知ったジョナサンは、母にせがんで見学に行った。 港町の許可証を見せると2等航海士ジム・キャメロン(クリス・クリストファーソン)は気さくに案内をしてくれた。 そこで彼はジョナサンにとっては『理想の男』、アンにとっては未亡人になって以来初めて心をときめかせた『男』に彼はなってしまうのであった。
その夜、アンはジムを食事に誘い、ジムとアンは食事をし、色々な事を話し合った。そして、夜、ジョナサンは小さな穴から母親とジムとのセックスを覗き見た。 それは完璧に美しかった。
次の日彼は母とジムのSEXを仲間たちに話すのだが、彼はジムに憧れを抱いているので、そこは美化して話すのだ。 しかし首領はただ の堕落した大人のSEXと、言い放つのだった。
船乗りのジムは、いつか海に戻っていく。 母の悲しみはとても大きかった。 そしてジムがまた来ることを心から願っていた。
『首領』は13歳の少年にしては卓抜した頭脳と感性の持主であり、堕落した大人と、その大人たちが作りあげた世界を軽蔑していたので、1号から5号までの少年たちはそれに感化され共鳴していた。 そして彼は拾ってきて家で飼っている猫を、解剖し、心臓を取り出すことまでするのだった。
しばらくしてジムの乗るベル号が再びやって来た。 狂喜する母のアン、そしてジムもこの母息子の家庭にだんだん入り込んでいくのだった・・・
 
原作は三島由紀夫で、原作に設定こそ海外に置き換えていますが、ほぼ原作に忠 実みたいですね。 女盛りで、突然夫が病となり死んでしまい、残された思春期の少年との二人暮らし、家政婦はいるものの、夫の骨董店を引き継いではいても、心の穴は大きかったんでしょう。
この港町は、どうやら高齢化が進んでいて、彼女を満たしてくれる存在はいないようです。 途中ジムと入る喫茶店は老人ばかりですから。
ジョナサン以外の少年は番号で呼び合っているので、名前はわかりません。 首領も原語ではチーフと言っています。
こいつが13歳にしては物凄く大人びていて、さらにはほかの少年たちのコントロールが上手く、ちょっと恐ろしい存在でもあります。 そして皆彼の不思議な統率力に引きつけられ、離れることができないんですね。
ジムと母・アンがどうな るか、そして母がジムに惹かれていくと、やはり波風は立ちます。 そしてエンディングがある恐ろしいことになっていくんですが、その伏線はもう前半に描かれていました。
三島作品の映画は、正直難解なのが多いですが、これは官能的でもあり、思春期の少年の事が非常に良く描かれている作品でした。
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思春期の少年ジョナサン
 
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ジムと母・アンの情事を見るジョナサン
 
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女になっていく母
 
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そして再びやってくるジムに喜ぶアン
 
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少年たちはジムを誘う
 
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