anttiorbの映画、映像の世界

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ロスト・メモリーズ

2001年作品、イ・シミョン監督、チャン・ドンゴン仲村トオル出演。
 
口ひげを蓄えた男は、おもむろに帽子をかぶりハルピン駅に向かった。 男の名は安重根、彼はある男を狙っていた。 初代朝鮮総督就任予定の伊藤博文だった。
列車から降りてきた伊藤に狙いと付けたその瞬間、逆に安を狙っている男がいた。 なぜ自分の計画がばれていたのか? 一斉に安は狙撃され暗殺は未遂に終わった。
1909年、この年に初代朝鮮総督に伊藤が就任。 その後、朝鮮人による独立運動三・一運動)やテロ(上海天長節爆弾事件)は完膚なきまでに弾圧される。 そして第2代朝鮮総督に井上が就任、満州問題で意見の一致を見た日米は1936年に同盟を結び、日本は第二次世界大戦に連合国側で参戦する。 
1943年に満州を併合、原爆はベルリンに投下され、日本は第二次世界大戦の勝利によって東アジアを統合、1960年に国連の常任理事国入りを果たした。
日本は1965年に人工衛星サクラ一号を打ち上げ、1988年に名古屋オリンピックを開催、2002年にはサッカーワールドカップ単独開催と、世界でも指折りの大国として繁栄する。 そして朝鮮は植民地統治の成功によって完全に日本の一部と化し、京城(ソウル)は東京・大阪に次ぐ日本第三の都市として繁栄していた。
2009年、京城府内の伊藤会館で行われていた 「井上財団」 の美術品展示会場で催されていたパーティーに朝鮮独立派テロ組織が乱入、客を人質に立て籠もる事件が起こった。
坂本正行(チャン・ドンゴン)とその無二の親友たる西郷将二郎(仲村トオル)は日本捜査局(JBI:Japanese Bureau of Investigation)として、休日返上で現場に向かった。 今は朝鮮は、完全に日本と一体化している中、この組織は朝鮮独立同盟と名乗り、武力を持ってここを狙ってきたのだったが、同じ朝鮮人の間にも嫌悪感があった。
日本文化研究所も過去に襲ったのだが、その時に壊滅的打撃を受けていたと思われたが、地下に潜って、今回のテロに及んだのであった。 捜査局側も多大な犠牲を払ったが、なんとか鎮圧することができた。 
しかしここまで頑強にテロを起こすのに坂本は疑問を持ったのだった。 そして彼もまた朝鮮人で、父もまた刑事だったのだが、父は同僚に殺されたのだった…
 
韓国作品の近未来SFモノです。 本来の歴史が変わる分岐点を伊藤博文暗殺の有無としているのが面白いですね。
歴史では、伊藤博文暗殺から、日本が強硬路線を取り、一気に日韓併合に向かったというが日本側の認識ですが、こういう設定をしているところから、韓国の認識は逆ということがわかります。 
もし、伊藤博文が生きていたら、逆に日本と韓国は違った関係になっていたのではと思います。 併合ではなく、保護国扱いになったかもしれませんし、同盟国として第二次世界大戦を戦ったかもしれませんね。 また敵国になっていたということも考えられます。
日本の俳優は、主役の仲村トオル光石研大門正明らが出演していますが、上記のような変わった歴史の世界では、朝鮮の人たちはそれなりに満足していて発展した経済の恩恵を十分受けています。 
もう、一つの国という感じでしたね。 では、なぜこんなテロ組織がいるんでしょうか? そこがこの作品の肝の部分です。
曲がってしまった歴史を知っているからなんですね。 
この作品、前半部分は正直魅力ある世界でした。 逆にこの作品は韓国で受けたんでしょうかね? かえって今の日本と韓国の関係からすると、バッシングを受けそうな作品にも見えましたね。



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テロを鎮圧しに来た坂本

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親友の二人

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日本と韓国は一つの国家

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しかしテロリストたちに思いが及ぶ坂本

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そして彼はある時代に

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