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聖の青春

2016年作品、森義隆監督、松山ケンイチ主演。

路上に倒れていた男が、将棋会館に連れて行ってくれと言っていた。 それを見つけた下宿の大家(中本賢)は、彼を抱え将棋会館に連れて行った。 ほとんど自力では立てない感じのその男は、将棋を指し始めると別人のようになっていく。 いったいこの男はなんなんだ? 大家はそう思った。
羽生善治東出昌大)との対局に負けた村山聖松山ケンイチ)は高熱を発してしまう。 師匠の森(リリー・フランキー)や、弟弟子の江川(染谷翔太)に看病してもらう聖だった。
彼は、幼い頃に難病のネフローゼ症候群を患い、入退院を繰り返していた。 母・トミ子(竹下景子)は医師から、どうしてもっと早く診せなかったのかと怒られる。
入院した聖は、そのとき父・伸一(北見敏之)が買ってくれたプラスチックの将棋の駒で、友人と将棋を指し始めたのだった。 しかし何度やっても彼は負けてしまい、どんどん将棋にのめり込んで行った。
彼の趣味は将棋は職業として、麻雀と少女漫画、酒は嫌いではない。 しかし絶えず高熱を発するし、その都度森たちに看病されるのだった。 しかし羽生の強さを感じた聖は、ある決意をするのだった。
それはここ関西にいるのではなく、東京の将棋会館で、絶えず羽生の近くにいて、羽生を超えて名人になろうと思うのだった。 その頃の羽生は前人未到の八冠達成するという、まさに敵なしの状態だった。
しかし聖の体調のことを考えると、とてもじゃないがひとりでは行けるわけがない。 しかし師匠の森だけはその聖の決意の後押しをするのだが、結局荷造りは母と森の二人でやる羽目になる。
千駄ヶ谷の駅に降り立った聖を待っていたのは、将棋連盟の職員・将棋雑誌編集長・橋口(筒井道隆)だった。 森は彼に聖の面倒を見てもらうよう話をつけていたのだった。 そして通帳と印鑑を橋口に渡す聖、彼は金に執着など無いのだった。
そして彼の打倒羽生の生活が始まる…

村山聖という将棋棋士、早世してしまった彼の29年の人生の中の、後年、特に羽生棋士との戦いの部分を描いた作品ですね。 主演は松山ケンイチ村山聖を演じるために生前の彼のイメージに合わせようと増量をしたそうで、舞台挨拶の時はすっかり元通りになっていましたね(^^) 奥さんにはぽっちゃりの方が良かったと言われていたらしいですが。 小雪さんらしい(^^)
監督は森義隆、前作は「宇宙兄弟」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12936203.html 実写版でしたが、まだ若い監督さんですね。 そして羽生善治役には東出昌大、これはけっこうイメージに合っていた感じがします。 座っているシーンが多いので、彼の長身が目立たなかった。 また東京に出て来てからの先輩たちに、安田顕柄本時生が出演していますね。
物語はだんだん闘病記となっていきます。 ネフローゼを抱えながら、将棋に没頭するだけでなく、麻雀や漫画を読み始めると止まらない。 そして酒を飲み、食生活もほとんどインスタント、何か生きることをあきらめたような生活に感じられます。 そして彼は膀胱がんを患って行くんですね、それも進行性の。
私は彼のドキュメンタリーを見たことがあるんですが、映画で描かれているのはほんの一コマに感じました。 最も人間臭い部分を描いていて、将棋以外には何か粗野で無礼な感じを受けましたが、もっともっとプロ棋士としての部分が強かったと思うんですが、それが逆にさらっと描かれている気がしました。
ただ、膀胱がんの一連の手術への迷い、治療法でのこだわりは、プロとして、将棋指しとしての拘りがありましたね。
映画では、彼がもし誰かそばにいて生活がもっと規則正しいものになっていたら寿命がもうちょっとあったような感じで描かれていましたが、彼はどこか自分の寿命を知っていた、どうあがいても自分はここまでだろうと悟っていて、だからこそ好きなことをあまり自粛しない人生だった感じがしますね。
ただ、結婚したい、家庭を持ちたいという気持ちを吐露するところは、切なかったです。 壮絶な村山九段の人生でした。

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羽生との対局

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負けて高熱を出す聖

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結局荷造りは森と母のトミ子

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そして東京に

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しかし羽生の壁は厚い

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