2003年作品、瀧川治水監督、宮藤官九郎主演。
ここは浅草雷門、とぼとぼ一人の男が歩いている。 29才のフリーター青年・里中高志(宮藤官九郎)が向かっている先は、浅草にある高齢者向けマンション 「東京パティオ」 内にあるレストランだ。
でも彼は年寄りなんて好きではない。 適当なことを言って面接を通り抜けた。 どうして彼はここに来たのか? それはちょっと邪な理由だったのだが。
入ろうとすると初老の男に呼び止められた。 その奇妙なジイさん(田中邦衛)に何か用かといわれる。 今日から働くことになったと言うと、扉を開けてもらって、近道を教えてもらうが、耳を引っ張られる。 里中は福耳の持ち主だった。
タイムマシンというレストラン、カラオケ大会の真っ最中だった。 ビンゴもやっていた。 いきなり入っていくと、「お前は誰?」 と言われ、自己紹介をする。 ここにはいろんな老人が入っている。
元活動弁士の緑川(坂上二郎)、元うなぎ屋の小林(谷啓)、元高級官僚で今はオカマとなって洒落たバーのマスターをしている井上五郎(宝田明)、小林の妻・敦子(弓恵子)。 そんな時に藤原という人が亡くなって戻ってきた。 昨日の夜、心筋梗塞で倒れたらしい。 そしてその時に出てきた若い女の子がいた。 彼女こそ里中がここに来た理由だった。
前に入院した先の看護士だった信長珪(高野志穂)に一目惚れ。 彼女を半分ストーカー状態で追いかけてきたのが、ここに来た理由なのだ。 しかし里中は藤原の顔を見てびっくり、ここに来たときに話しかけられた初老の男だった。
信長は里中に聞く、私がここにいるのを知ってたの? 里中は両方というどっちつかずの返事をした。 そして部屋に戻って鏡を見ると、なんと自分の顔が、藤原の顔に、いったい何が起きたのか?・・・
今、最も乗っている男宮藤官九郎主演作品のファンタジーです。 脚本家として今輝いていますが、監督、俳優としてもいい物を作り味のある演技もします。 ほんとにマルチですね。 決してイケメンでなく、どちらかというとサブキャラですが、主役にするとすわりがいいですね。
藤原役の田中邦衛の心残りをかなえてあげる物語ですが、これもホロリと来るシーンが多いです。 それもそのはず、ここの入居者が全員芸達者なベテランですから。 上記以外に司葉子、千石規子等、宮藤が思いっきりできる環境も整っていました。
もう10年前の作品ですが、元気な二郎さん、谷啓さんも見れてちょっと驚きでした。 二郎さんはこの後ご病気をされるんですかね。 映画では元気に走っていますから。
肩の凝らない不思議映画ですが、老年の恋を甘く描いた作品でした。
始めに案内をされる里中、男が藤原
彼がここに来た理由はある女性が目当て
そして鏡に藤原の顔が
彼は福耳の持ち主
亡くなった藤原の願いは