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ハマのドン

2023年作品、松原文枝監督、リリー・フランキーナレーション。

2019年8月、“ハマのドン”こと藤木幸夫が横浜港をめぐるカジノ阻止に向けて立ち上がった。 御年91歳。 地元政財界に顔が効き、歴代総理経験者や自民党幹部との人脈、田岡一雄・山口組三代目組長とも繋がりがあり、隠然たる政治力を持つとされる保守の重鎮である。 その藤木が、カジノを推し進める政権中枢に対して、真っ向から反旗を翻した……。

世界のカジノ王「ラスベガス・サンズ」CEOのアデルソンは、日本進出を狙っていた。1兆円という巨額の投資額、ターゲットは横浜港の山下ふ頭。 藤木が長年仕切ってきた現場だった。 アデルソンは、トランプと安倍の首脳会談の前に開かれた朝食会にも出席。 態度を曖昧にしてきた横浜市長の林文子は、カジノ誘致に向けて動き出す。 横浜大空襲を生き延び、父親の時代からの港湾を引き継いできた藤木はこれに敢然と立ち向かう。 

港は苦難の歴史だった。 日雇いで危険と隣り合わせ。荒くれ者が集まり、博打は当たり前。 野毛の木賃宿でその日暮らしの不安定な生活。 家族持ちは、はしけの中での水上生活。 その港の苦難を知り、博打が行われていた時代を知り尽くしているからこその反対だった。 身体を張った勝負師の行動は、多くの市民、自民党の長老、カジノ側の人物までも動かしてゆく。 横浜市民のカジノ反対の動きは急激に広がり、コロナ禍のなか、市民は住民投票を求めて法定数の3倍を超える19万超の署名を集めていた。だがその声は市議会に届かず、横浜市長選に持ち込まれる。 藤木は無名の新人を押し立て、現職市長、そして菅総理側近の現職閣僚を相手に闘うことになる。 それは無謀とも言える闘いだったが、藤木は市民の力にかけた……。

監督は松原文枝、初めての監督作のようですね。

仕事柄、輸入に避けては通れないのが港、港湾業務ですね。 うちの会社は、こういう輸入業では新参者なんで、なかなか港の仕来たり、暗黙のルールはなかなか馴染めないもんですし、それこそ大昔は港湾業務と、仁義、任侠の世界は、切っても切れない関係にあり、ある意味歴史的にも独占の世界、しっかりとルートを計らないと入ってはいけない感じなんですね。


今作は90を超える藤木幸夫という大変魅力のある戦争経験者、港を仕切る横浜の親分のお話ですね。
横浜だけではなく、日本の港湾業務のドンとも言える存在ですが、そこに起こったカジノ問題。 アメリカのカジノ王が目をつけたのが横浜、山下埠頭でした。 トランプの資金源で、安倍元首相に取り入り、それが菅首相に受け継がれ、政府の肝煎りで横浜誘致に乗り出します。
しかし、それに立ちはだかるハマのドン、映画の作りは彼を英雄にしていますが、人間的には恐ろしく魅力的な爺さんなんです。 ただ、冷静に見ると、彼の命とも言える港を横取りしようとした国家権力が吹き飛ばされた、そんなお話にも見えました。