2017年作品、イ・ジュニク監督、イ・ジェフン チェ・ヒソ キム・インウ キム・ジュンハン出演。
1923年、東京。 社会主義者たちが集う有楽町のおでん屋で働く金子文子(チェ・ヒソ)は、『犬ころ』 という詩に心を奪われる。 詩を書いたのは朝鮮人アナキストの朴烈(イ・ジェフン)。 出会ってすぐに彼の強靭な意志とその孤独に共鳴した文子は、唯一無二の同志、そして恋人として共に生きる事を決めるのだった。
内務大臣・水野錬太郎(キム・インウ)を筆頭に、日本政府は震災による人々の不安を鎮めるため、朝鮮人や社会主義者らを無差別に総検束。 朴烈や文子たちも検束され、社会のどん底で生きてきたふたりは、社会を変えるため、そして自分たちの誇りのために獄中で闘う事を決意する。
やがてその闘いは韓国にも広まり、多くの支持者を得ると同時に、日本の内閣を混乱に陥れていく。 しかし、国家を根底から揺るがす歴史的な裁判に身を投じていくふたりには、過酷な運命が待ち受けていた……
関東大震災の時の、挑戦人に対するデマはひどかったそうですね。
監督はイ・ジュニク、作品を見るのは初めての監督です。
主演はイ・ジェフン、「高知戦」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14173092.html では青年大尉シン・イリョン役でした。
そしてチェ・ヒソ、彼女は大阪と、アメリカで暮した経験があるそうで、ほぼ日本語は完璧ですね。 表情も全く日本人で、当時のマルキストという感じで好演していました。 今後はもっとスクリーンに出て欲しい女優さんですね。
物語は、軍国主義がどんどん勢いを増していく時代、しかし当時の日本の脅威はひとつは共産主義でした。 そしてその思想に微妙にリンクしてる側面のある、朝鮮独立思想ですね。 日韓併合から時がたち、日本に同化しているように見える朝鮮民族でしたが、あからさまな差別も横行していました。 特に裕福な人間ほど差別意識が強く、露骨に暴力を振るう人間も。
そこに起こった関東大震災、彼ら在日挑戦人を利用しようとする内務大臣の水野は、恐ろしい計画を立てていきます。
今作では、当時のあからさまな挑戦人差別の問題を、韓国人視点で描いています。実際にあった毒を井戸に投げ込んだのが挑戦人というデマを流したのが、日本の国家だったということですが、今作ではフラットに、水野を諌める勢力が政府にいたことにも触れられています。
当時は警察の気骨ある人物が、そんなのはデマだと言い、井戸の水を飲んで正常なことを示した警察官もいたそうですが、大きな現象では、これにより多くの挑戦人が捕らえられ、自称自警団という暴力組織が虐殺までしていたそうです。
日本人として恥ずべき振る舞い、これも日本の恥部だったでしょう。
詩人でアナーキストの朴烈