アーサー(テレンス・スタンプ)はいつも不機嫌な顔をしている。 しかし妻のマリオン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)の願いだけは邪険にはしない。
彼女は歌を歌うことが好きで、年配者だけの合唱団に参加することが何より楽しみだった。 しかし彼女は病を患い、車椅子がなければ外出はできない。 だから送り迎えはアーサーの仕事だ。
若い音楽教師のエリザベス(ジェマ・アータートン)がボランティアのように、老人たちを教えている。 そこに集まっている老人たちは、人種も様々、持病も様々。 しかし歌っている時の彼らは生き生きとしていたが、アーサーは決して練習場に入っては来なかった。
アーサーは不器用な男だった。 妻のことを誰よりも愛していて、心配をしている。 この合唱に来ることも、妻の具合を考えるとあまり良く思っていないのだった。
ある日、彼は友人たちとの約束があったので、息子のジェームズ(クリストファー・エクルストン)の職場に来て、その日はマリオンの送り迎えを頼んだ。 しかし頼み方はつっけんどんだった。
それでも母に対する愛情が強いジェームズは引き受けるのだが、その日マリオンは練習中に倒れてしまった。 エリザベスがアーサーのところへ知らせに来た。
病院にしばらく入院することになったマリオン。 様々な検査が行われた。 そして検査結果が出た。 病気の再発だった。 悲しむアーサー、ジェームズだった。
もちろんマリオンも少なからずショックを受けていたが、家に帰ったマリオンの所へ、合唱仲間が歌を歌いに来てくれた。 しかしアーサーは彼らに怒鳴ってしまう。 それを見て逆にアーサーを怒るマリオン。
そしてマリオンは言うのだった。 「私を合唱の練習にまた連れて行って欲しい。 連れて行かなければ口をきかない。」 根負けしたアーサーは妻をまた練習に連れて行くことにした。 マリオンはある決心をしていたのだった・・・
素晴らしい作品でした。作品の骨格は 「スィングガールズ」 に似ていますが、なかに盛り込まれた、夫婦、友、歌、親子、病いといった様々なシチュエーションがうまく配置されていました。
「トゥルーカラーズ」 を歌うマリオン、凄かったですね。 感動というより、命をかけて唄った姿に、驚きを感じました。 友に、エリザベスに、息子に、孫に、そしてなにより愛する夫に、心に焼き付けるような熱唱のように感じましたね。 それが最後の場面のすべてを作っていくんですね。
頑固者のアーサーが妻の前だけでは、素直になるんですが、その姿も可愛かったです。
主演夫婦の二人はもうさすがの演技ですが、ちょっと硬い感じのエリザベス役のジェマ・アータートンも好演でした。 綺麗ですが大柄で、可愛い感じのする女性ではありませんが、それがいい味になっていました。
彼女が老人たちに歌わせる歌の数々最高でした。 いい空間を味わわせてもらった作品でした。
老いても愛し合う二人だが、妻の病状は…
息子のジェームズと、孫娘、ジェームズはシングルファーザー
とうとう練習場へアーサーを引き込むマリオン
命の限り唄うマリオン
熱唱の後で祝福されるマリオン
妻の遺志を果たせるのか