anttiorbの映画、映像の世界

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ありがとう、トニ・エルドマン

2016年作品、マーレン・アデ監督、ペーター・シモニシェック主演。

宅急便がヴィンフリート(ペーター・シモニシェック)のもとに届く。 しかし出てきたのは兄と言い弟を呼びに戻る、そして手錠をしたムショ帰りのそっくりの男が出てくる。ビビる配送のお兄さんだが、これはヴィンフリートの悪ふざけだった。
そこに少年が一人やってくる。 実はこの少年にピアノを教えていたのだったが、これから時間が取れなくなってやめたいと言い出すのだった。 お前に教えるためにピアノを買ったのに、と言うがこれも冗談で、とにかく誰に対しても何か言いたくなる性分なのだった。
彼は老犬を飼っているが、その世話を母に頼み、学校に行くのだが、ここでも奇怪なメイクをしていく。 その足で久しぶりに里帰りしていた娘イネス(ザンドラ・ヒュラー)に会いに別れた妻たちのいる家に向かうのだった。
イネスはコンサルタント会社で働いていて性格も正反対で真面目だった。ブカレストが今の職場だが、彼女は上海での仕事に移ろうと思っていた。 まずはブカレストで行っているプロジェクトの成功が不可欠だと言っている。 ちょっと根詰めている娘に心配をするヴィンフリートだったが。
そんなある日、飼っていた老犬が死んでいた。 前の晩に弱っていたので庭で添い寝をしていたが、起きると木陰に移動して息絶えていた。
老犬の心配がなくなったヴィンフリートは、イネスが働くルーマニアブカレストへ向かう。 彼女の会社の前で待っていると忙しそうな数人の集団の中に彼女はいたが、少しして戻ってきた。 父の突然の訪問に驚くイネスだったが、ぎくしゃくしながらも何とか数日間を一緒に過ごし、父はドイツに帰って行く。
だがホッとしたのも束の間、彼女のもとに<トニ・エルドマン>という別人になった父が現れる。 職場、レストラン、パーティー会場。 神出鬼没のトニ・エルドマンの行動に イネスのイライラも募っていくが、二人が衝突すればするほどお互いの仲は縮まっていくのだった…

162分の長編作、評判がいいという事でやっと時間があいました。 監督はマーレン・アデという女性監督、41歳の若い監督ですが、長編作は3作目のようですね。日本公開はこれが初めてになるんでしょうか。
主演はペーター・シモニシェック、初めて見るオーストリアの役者さんです。 いやー実にいい味を出す俳優さんでした。 そして娘のイネス役でザンドラ・ヒュラー、ドイツの女優さんで舞台出身という事みたいですが、彼女も初めて見ますね。 真面目で硬いキャリアウーマンにぴったりでした。
舞台はドイツから始まるんですが、すぐに彼女が働くルーマニアブカレストに移動します。 そこで生きている世界が違う事を感じた父・ヴィンフリートは、娘を起こさなかったことをなじられ、ドイツに帰って行く、と思っていたんですが、なんと不思議な変装をした “トニ・エルドマン” として彼女の前に現れるんですね。
そして行くところに決まって“トニ”が付いてきますし、まさか父の変装とは言えないイネスも仕方なく同行させていく。 これが何とも滑稽なんですね。
いたるところで、別人に変装したトニがいろんなことを起こしていく、トイレを借りるシーンなんかはなかなか笑えますが、実は仕事がなかなか決めきれず行き詰っているイネスに、トニなりの愛情を必死に注いでいることがだんだんと伝わってくるんですね。
彼女が熱唱するシーンがありますが、まずここが見せ場であり、そして自宅で社員の結束を図るために催したパーティーのシーンは圧巻でしたね。 そしてヴィンフリートのもう一つの変身、実はこのシーンが泣けるんですね。
親ってなかなか子供に対して上手く世話をだんだん焼けなくなっていく。 子供は親に頼ることをしなくなっていく、イネスはそんなバリバリの娘なんですが、彼女の心のSOSを誰よりも受け取っているのが父でしたね。
滑稽な作品なんですが、この作品は忘れられなくなる作品でもありました。

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老犬と一緒にお茶目に暮らしているヴィンフリート

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ちょっと里帰りをしている娘

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老犬が死んだことで娘に会いに行く

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いきなりの父の出現で驚くが、連れて歩くイネス

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そしてドイツに帰るヴィンフリート

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と思ったら!

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謎の人物“トニ・エルドマン”として現れる

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そしていっぱいいっぱいのイネスは

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