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アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発

2015年作品、マイケル・アルメレイダ監督、ピーター・サースガードウィノナ・ライダー出演。

1961年8月、イェール大学で、ミルグラム博士(ピーター・サースガード)の実験が開始された。 実験者とともに、二人の被験者が実験室に入ってくる。
一人は先生、一人は学習者となり、先生役の人物は問題を出題、別室にいる学習者役はそれに答える。 学習者役はジェームズ(ジム・ガフィガン)という恰幅の良い男性だった。 彼は自分は心臓が悪いので、心配だと言っている。
答えを間違えると学習者には電気ショックが与えられ、間違えるごとに電圧は上げられる。 くじ引きで、先生と学習者の役割は分けられたが、被験者の一人は実験の協力者で、常に学習者になるように操作されていた。 マジックミラー越しに静かに実験の様子を見つめる、
この実験は、ナチスによるホロ コースト(大量虐殺)がどのように起こったのか? 普通の人々が権威にどこまで服従するのか? を科学的に実証することが目的だった。
実験が進んでいくと、学習者の答えは不正解が続き、電気ショックの強さも上がっていく。 学習者はしだいに呻き声をあげるも、被験者の電気ショックの手は止まらない。 電気ショックが強くなるに連れて、学習者の呻き声も大きくなる。
そしてとうとう学習者は 「ここから出してくれ!」 という声を発する。
被験者は心配顔になり、後ろにいる実験者に伺いを立てる 「イヤだと言っている。」。 しかし実験者 「続けてください」 と言い、決して実験を途中で中止せず、「正解するまで続けねばなりません。」 と言うのだった。
そして、彼は最後の450V(ボルト)まで電気ショックを与え続けた。 別の被験者も表情や仕草などに変化はあるものの、ほとんどの被験者が450Vまで電気ショックを与えた。
もちろん最後には種明かしをして、友好的に終わらせるのだったが、途中で辞める人間も中にはいたし、その人間の一人は電気技師で、これ以上は危険という事を理解している人間だった。
この実験は世界的に衝撃を与えるものだったが、同時に非倫理的な実験だとミルグラムは糾弾されることになるのだった…

ナチで起こったホロコーストを扱った作品は多いですね。 今作と似たテーマで問題提起した作品と言えば、「ハンナ・アーレント」  http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/11682863.html  ですし、アイヒマンを扱った作品となると、「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14677372.html 「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14117395.html さらにホロコーストを実際に実行させられたゾンダー・コマンドの 「サウルの息子」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13864282.html も近年作られています。
今作は、そういったドラマというよりも、心理学的な、どちらかというと社会心理実験に重きを置いた作品ですね。
実は私は大学の専攻が社会心理学だったので、こういう実験はゼミのテーマであったんですね。 ただ、学校に行かない大学生だったので、自由参加の実験は参加はしなかったのですが、シュミレーションを作り発表はしましたね。
それは密室での、災害環境における人間の行動というテーマでした。 たとえば大学の一室で、家事が起こったという放送が流れた時の行動を予測し、検証する。 その前段階での行動予測の理由を考えてみるというシュミレーションでした。
半ばやっつけ的なレポートを必死に書きましたが、私は “恐怖” という概念を入れてみました。 意外にこれが担当教授にウケ、上手く実験を組んだら面白いと言われたんですね。 まあバイトに忙しく実現はしませんでしたが。
私の学生時代には、このミルグラム教授の実験をモデルにした実験が各大学で行われていたんだと再認識させられました。
映画としては、何か学習ビデオのような展開ですが、私にとっては大変興味深い作品でした。

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彼の電気ショック実験

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パーティーで出会った妻・サシャ

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被験者のほとんどは電圧を最大まで上げ続ける

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しかしこの実験が問題となる

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ゲストで呼ばれた講義でも糾弾される

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