anttiorbの映画、映像の世界

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ハラがコレなんで

2011年作品、石井裕也監督、仲里依紗主演。

原光子(仲里依紗)は妊娠9カ月で、子供の父親のアメリカ人と別れ、所持金もなく、行く当てもないままアパートに一人暮らしだった。 父・原芳隆 (並樹史朗 )と母・原早苗 (竹内都子)には、まだアメリカにいることにしている。
病院に行くと、まだ悪阻が止まらず、逆子なのは、まったく安定期にならないと言われてしまう。そして出産費用は10万円と言われ途方に暮れてしまうが、彼女は何とかなると言い、アパートを引き払い公園で昼寝をする。 風向きが変わったと思った時、彼女はタクシーに乗りその風に乗った雲の方向へ車を走らせる。そこは、光子が子供のころ夜逃げして両親と暮らした時代遅れの長屋だった。
毒舌だった大家のおばちゃん・清(稲川実代子)は寝たきりで、戦死した夫のもとに行きたがっている。 光子は、清の世話をしながら長屋で出産する決意をする。
賑やかだった長屋に残っていたのは、閑古鳥の鳴く食堂を経営する、光子の幼馴染の陽一(中村蒼)とその叔父・次郎(石橋凌)だけ。 陽一は幼いころに両親に捨てられ、叔父が育てていた。
原一家がこの長屋に住んでいたのは借金苦から夜逃げをしたからだった。清がその頃は若くバリバリだったので、何気に清の影響を受けた光子(大野百花)だった。 貧乏になってしまった光子だったが、清から“粋”という事を習った。
初めは理解できなかった光子だったが、粋とはかっこよさだという事が何となく理解ができた。 そして長屋に住んでいる人間たちは少なからず、清の影響を受けていた。その中で陽一(鈴木励和)は、何とか借金問題が片付き、長屋を出ていく光子に「将来お前と結婚する」と言って別れるのだった。
そんな光子が大きなおなかで戻ってきたので 、陽一の心境は複雑だったが、彼は勝手に彼がした約束を忘れてはいなかった。
そして光子は安静にするどころではなく、清の面倒を見ながら、食堂も手伝い始めるのだった…

“粋”っていう言葉は今は死語なんですかねえ? でも映画を見ていると、こういう言葉は映画の中では生きているなあっていつも思いますし、私もそういう表現をけっこう使います。 この作品はその“粋”というのを前面に出した作品でした。
主演は仲里依紗、「時をかける少女 (2010年版)」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/6922789.html の主役をやった時は良かったですね。 脇でも存在感がありますが、彼女は中心にいるともっと映える女優さんです。
さて今作は、もう生まれる寸前の妊婦役、しかしガッツでギリギリまで“粋”を貫き通すぶっとい女性役でした。 逆に言えば、この作品中の男性は誰もが弱々しいんですね。 女性の方が積極的で、それは清おばちゃんも、喫茶店「べる」のママもみんな男の答えを待っているし、行動をじれったく見ているんですね。
しかし光子は、それもすべてひっくるめて面倒を見ると言い切ってしまい、ちょっと外していますが大胆な行動に突っ走ってしまうんですね。 まあそれが何とも、打算的でないのが良いんで す。
お話としては無理無理のお話ですが、ドタバタ劇の中で、ちょっと元気の出る物語でした。

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ここに帰ってきた光子

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ここは昔いた長屋

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当時は元気だった清

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戻ってきた長屋にいたのはこの二人

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そして光子は店を手伝い始め、清の面倒を見始める

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