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サラの鍵

2010年作品、ジル・パケ=ブランネール監督、クリスティン・スコット・トーマス主演。
 
無邪気に遊ぶサラ(メリュジーヌ・マヤンス)とミッシェルの姉弟、しかし母(ナターシャ・マスケヴィッチ)は憂鬱な顔をしている。 その時荒々しくドアをたたく音がした。 「スタジンスキ開けろ」 入ってきたのは警察だった。
1942年7月のユダヤ人一斉検挙だった。 夫は不在だったが、ほどなくして戻ってきた。 サラは幼い弟を、部屋の隠し部屋に入れ、鍵をかけた。 私たちが開けるまでじっとしていることを言い、弟はうなずいた。 警察には見つからなかったが、父と母とサラは連れて行かれてしまうのだった。
夫と娘と共にパリで暮らすアメリカ人女性ジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、夫が持っていたアパートのリフォームをしようとしていた。 夫のベルトラン・テザック(フレデリック・ピエロ)は、娘のソーイにこの家の歴史を話していた。
ジャーナリストのジュリアは、他紙との競争の渦中にいた。 編集長がシラクヴェルディヴ事件を認めたと言った時皆が反応した。 いったいなんの事件? それは通称 “ヴェルディヴ” =ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件といい、フランスにおいては、ヴィシー政権がフランス警察を動かし、ナチスが行った最大のユダヤ人大量検挙事件である。
ヴェロドローム・ディヴェール(Vélodrome d'Hiver)とは冬期競輪場のことで、最初、検挙されたユダヤ人達はここに閉じ込められ、その後、アウシュビッツを初めとする東欧各地の絶滅収容所へと送られた。 女性と子供は8000人いたとされるのだ。
ジュリアはタイム誌に記事を書いたことがあり詳しかった。
サラはそこに連れて行かれたのだった。 環境は最悪で、具合が悪くなる者が続出した。 これから一体どうなるんだろう、どこに連れて行かれるんだろう。 集められた人たちが恐怖と不安で怯えていた。 
しかしサラは弟の事だけが心配だった。 早く戻って出してあげなければ、寂しいだろう、お腹が空いただろう。 彼女はひたすら鍵を握りしめていた。 しかし彼女たち親子はそう簡単に家に戻ることは出来そうもなかった、いや戻ることは不可能だったのだ…
 
これはショッキングであり、最後は涙が止まりませんでした。 サラが取った行動を攻めることは決してできません。 悪意ある歴史の犠牲者としか言いようがありません。 
当時のフランスは、ナチスドイツの傀儡政権でした。 国内でやっていることはドイツと一緒なんですね。 始めのシーンで、アパートの管理人はフランス人なんですね。 警察の態度が全く違います。 
その後サラは、まず父と引き裂かれ、その後母と引き離されます。 子供たちだけの収容所、そこを何とか脱出しますが、果たしてという展開です。 見ていると少女・サラを必死に応援したくなります。
現在と1942年を結んだのは古びたアパートでした。 そしてこの事件を知っていた女性ジャーナリスト。 彼女が食いついてくれなければ、最後の感動はありませんでしたし、彼女自身の再生も無かったでしょう。
彼女は大分高齢で妊娠して思い悩みますが、それもこの事件からどうすべきか答えを出していきます。 傑作でした。

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寝ながら遊んでいた二人に、物々しい音が

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連れて行かれる3人

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子供たちだけの収容所で出あった友達、そして二人は

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脱出!

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この老夫婦との出会いがサラの運命を変える

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ジュリアはヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件に向き合う

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