anttiorbの映画、映像の世界

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蠢動 -しゅんどう-

2013年作品、三上康雄監督、平岳大若林豪、脇崎智史出演。
 
享保の大飢饉より三年が過ぎた、享保二十年、山陰の因幡藩は落ち着きを取り戻したかのようにみえた。  因幡城代家老・荒木源義(若林豪)と、城代家老付用人舟瀬太悟(中原丈雄)は新たなる問題を話し合っていた。 それは、幕府からまた多摩川改修のための資金を依頼されそうだと言うことだった。 
そしてさらに、幕府から遣わされた剣術指南役の松宮十三(目黒祐樹)の動きに不審があることだった。 松宮は幕府から推薦を受けた男で、どうやら隠し田を探っているようなのだ。
剣術の稽古の場所に来た荒木と舟瀬は、喧嘩腰で戦う一人の男に目が行った。 幼き時に父を亡くした藩士の香川廣樹(脇崎智史)だった。 香川の父は今から10数年前に、藩を救うために罪を一身に背負い腹を切った男だった。 しかしその真相を知っているのは荒木含めた数人だった。 松宮はそんな実戦的な香川の剣を、毛嫌いしていた。
香川には夢があった。 藩の剣術師範の原田大八郎(平岳大)を通して修行の申し出をしていたのだった。 そしてたった一人の肉親である姉の由紀(さとう珠緒)の事を案じていた。 
由紀は父の事で決まっていた結婚も流れてしまっていたが、この度廣樹の同僚の村上との縁談が決まっていた。 だから廣樹は修行の許可がどうしても欲しかったのだった。
藩は松宮がどこまで藩の内情を知っているのかが気になっていた。 そして松宮が書状を幕府に送るのを横から盗み、そこには細部にわたる藩の実情が書かれていた。 もうこうなったら、松宮は危険人物でしかない。 思い悩む荒木に舟瀬は松宮暗殺を進言するのだった…
 
これはなかなか重厚な時代劇作品でした。 出ている俳優陣も演技のできるしっかりとしたベテランを起用していますね。 若いメンバーは多少危なっかしいですが、それを十分補うような作りとなっていました。 余計なBGMはなく、太鼓の響きで緊張感を引き出しているところが、このような熱い時代劇になっていました。 
三上監督は、劇場用長編作品は初監督だと思いますが、この作品に松宮役で出ている目黒祐樹さんの話からするとこの作品にかける意気込みは凄まじかったと言っています。 
山陰の因幡藩の苦悩話ですが、江戸期はどの藩にもあった幕府の圧力との戦いです。 しかしその話を武士とは? という視点で、一点集中で作りこんだ力作と言えるでしょう。 
海外用のタイトルが「busido」でしたね。 おそらく製作費は苦労したでしょうが、ヒットしてほしいと思えるほど作る側の気合いを感じる作品でした。

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因幡藩の運営に苦労する二人のご重役

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剣術稽古を見る面々、そこに一人の熱い男が目に入った

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松宮の動きに不審な点があるという報告を受ける

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そして剣術指南であり、娘婿でもある原田に荒木は…


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弟の身を案じる由紀だが・・・

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