無気力な日々を過ごしていた青年アルマン ・ ルーラン(ダグラス ・ ブース)は、郵便配達人の父、ジョゼフ ・ ルーラン(クリス ・ オダウド)から1通の手紙を託される。 それは、父の親しい友人で、1年ほど前に自殺したオランダ人画家、フィンセント ・ ファン ・ ゴッホ(ロベルト ・ グラチーク)が弟 ・ テオに宛てて書いたまま出し忘れていたもの。 パリに住んでいるはずのテオを探し出して、手紙を届けてやってほしいという。
アルルでは、自分の耳を切り落として精神病院へ送られた外国人の画家は評判がいいとは言えなかった。 彼を知る警官によれば、ゴッホが病んでしまったのは、彼が画家たちの宿にしたいと願った “黄色い家” に友人のゴーギャンが来たことが原因だという。
疎まれていた友人に対する父の思いにほだされるように、願いを聞き入れたアルマンはパリへと旅立つ。 テオの消息をつかめないまま画材商のタンギー爺さん (ジョン ・ セッションズ)を訪ねると、そこで聞かされたのは意外な事実だった。 兄フィンセントの死にうちひしがれたテオは、半年後その理由を自問しながら、後を追うように亡くなったというのだ。
タンギー爺さんはアルマンに、フィンセントのことを語って聞かせる。 テオによれば、フィンセントは幼いころから不幸な子どもだった。 自分が生まれる前に死産でこの世を去った同じ名前の兄がいて、本来愛されるべきは兄だと、自分は疎まれていると感じていたという。
画商、牧師の道を志すも挫折。 28歳にしていまだ無職の彼は、テオの献身的な援助を受けて絵筆をとる。 パリに出て芸術家仲間と交わるが、彼らから学ぶと南仏へと向かった。 たった8年で素人から仲間に一目置かれる画家にまで成長したフィンセントが、こんなに早く死んでしまうとは。
父の友人に対して自分が偏見を持っていたと気付いたアルマンは、その死に疑問を抱く。 フィンセントが最期の日々を過ごしたオーヴェール=シュル=オワーズでの主治医、ポール・ガシェは 「完治していた」 と言っていたのに、なぜ自分を撃ったのか?・・・
美術が苦手な私ですが、ゴッホの名前と作品はもちろん見たことはありますが、生涯はあまり詳しくは知りません。 なので今回は地元のTOHOシネマズで吹き替え版を見ました。 しかし驚いたことに、今作は変わったアニメーションで描かれていました。
ゴッホの作風をアレンジして、彼の作品をベースにした画作り、これは大変ドラマチックでかえって見やすかったし、実はサスペンスタッチで、より興味を惹かれました。
画は俳優さんと、ゴッホの絵がベースになっている感じですね。 アルマン役のダグラス・ブース、「高慢と偏見とゾンビ 」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14465313.html に出演していました。 吹き替えの声は山田孝之があてていました。
物語は、父の言いつけでフィンセント=ゴッホの手紙を弟に手渡しで届けて欲しいという仕事を言われたアルマン。 ゴッホのイメージは、ちょっとおかしな芸術家で、自殺をした変な人間というイメージを持っていたアルマン。 とっとと渡してお役ごめんとなるだろうと思っていました。
しかし弟が半年後に亡くなったことを聞かされ、ゴッホの最後の仕事場を提供してくれた医者の元を訪ねるんですね。 しかしいろんな人に会いゴッホのことを聞きますが、会う人ごとに印象が違う、そしてもしかしたら自殺ではなかったかもしれないと思うようにな って行きます。
本作は、ゴッホの死因に一石投じたようなつくりになっています。 そして生前のゴッホ、そして彼の理解者だった医師のガシェ、そして彼の娘、そして最後息を引き取った宿の娘、それぞれ証言が違い、彼なりの結論は実に悲しいものとなって行きます。
これはなかなかの秀作、見ておいてよかったです。