オカマのショーパブで舞台スタッフをしていた真奈美(須藤理彩)は、スター・ダンサーであるエンジェル(安田顕)と仕事仲間として友情を分かち合っていた。 しかしその日は、エンジェルがタイへ女性として生まれ変わるために出発する前夜、酔っぱらってしまったふたりは、いつのまにか男女の関係を持ってしまう。
しばらくして、エンジェルが帰ってきたとき、理彩から電話が入る。 「妊娠した。 あんたの子だから。 私生むわよ」
とある町に佇む小さな “スナック小夜子” には、今夜もその灯りを求めて常連客が集ってくる。 ちょっと疲れた人、ちょっと寂しい人、ちょっと酔っぱらいたい人。 流行っているとはいえないものの、このさびれた “スナック小夜子” が醸し出す雰囲気はどこか懐かしく、来る人に癒しの時間を与えていた。
“スナック小夜子” がオープンしたのは、ママの真奈美がシングルマザーとして娘の小夜子(藤本泉)を育てるためだった。
生まれた娘・小夜子は、近所の子に自分の名前が付いたスナックの事でいじめられたりしていたが、母の必死な姿 に、じっと自分の中でため込んでたし、母の事は好きだった。
でも、父親のことは知ることもなく、そして彼女は成長して、高校卒業とともに母を残して東京でひとり暮らしを始めることになった。 しかし世間の事をあまりよく知らない彼女は、惚れては捨てられ、やけ酒を飲む毎日だった。
そして数年後、小夜子は実家に戻ってくるが、母の真奈美は小夜子に店に出るように言うのだった。 しかし店には出たくない彼女は、洗いものとか中の仕事をしたいと言い張る。
そこに借金取りの男(金山一彦)がやってきて、もう返済を待てないと強く言いはじめる。 そう “スナック小夜子” は借金だらけで閉店しなければならないのだった。 借金取りは、ここを潰して、今繁盛している “シャープ ” というオカマバーの支店にするというのだった。
そんな中、小夜子とホステスの亮子(小林きな子)は、隣町で大人気のおかまバー“シャープ” に真奈美と一緒に行ってみようと言い出す。 そこは大繁盛していた。そして何とも楽しい空間で、ショーもしっかりしていた。
そこで二人は考えた。 シャープを真似て、偽おかまバーとして再起をかけようというのだった。 真奈美はそんな甘くはいかないと冷たく言い、猛反対をするが、小夜子は昔の写真から、エンジェルというオカマがいることを知る。
そして小夜子は直接エンジェルに直談判し、協力をお願いに行くのだった。 実の父親とは知らず…
監督は、原桂之介。 これがデビュー作品という事ですが、題材と言い、キャストといい素晴らしい作品でしたね。
物語は、ゲイとノーマルの女性の間に一夜でできてしまった小夜子を取り巻く人情ドラマ。 エンジェルと真奈美は、妊娠したことを告白してからおそらく一度も会っていないんでしょうね。 その都度留守電に、お店を開いた、ボトルを入れてある、と報告はしていますが、まさか娘に 「私は父です」 とは言えませんよね。 そして彼は子供が大っ嫌いなんですね。 そういうシーンをちゃんと盛り込んでいます。
でもなぜか泣けるんですよね。 小夜子が父とは知らずに 、偽オカマバーに対して協力してほしい、教えてほしいと頼み込むところはグッときますね。 そして父親だと分かるシーンも。
決して収まりがつかない親子の関係ですが、なぜかラストは一定の秩序ができているところが、また興味を引くんですね。
安田顕、恐るべし! またそう思った作品でした。
エンジェルがタイに行く前夜の事だった
真奈美はスナックを開いたが
スナック小夜子は生まれ変わる
その頃エンジェルは
そして偽オカマバーに