2012年作品、ロレーヌ・レヴィ監督、エマニュエル・ドゥヴォス、ジュール・シトリュク、マハディ・ザハビ出演。
テルアビブに暮らすフランス系イスラエル人の父アロン（パスカル・エルベ）と母オリット（エマニュエル・ドゥヴォス）の息子・ヨセフ（ジュール・シトリュク）。 彼は18歳になり、兵役検査を受けに来た。 父は軍で働いている。 ３年間の兵役の覚悟はあったヨセフだった。
ヨセフは仲間と、束の間のの自由時間を楽しんでいた。 血液検査が間違っていたので、ヨセフは再検査を受けることになった。 病院に勤めているオリットに、同僚からあることを知らされた。 アロンと、オリットはともにＡ－、しかしヨセフはＡ＋だというのだ。 要するにヨセフは血がつながっていないということだった。
オリットはにわかにそんなことは信じられなかった。 すぐにそのことはアロンにも知らされた。 アロンはオリットを疑うが、オリットはあなたを裏切ったことは無いという。
ヨセフが生まれたＲ病院から連絡が入った。 そこで受けた説明は、二人にとっては酷なものだった。
そこには別の夫婦も呼ばれていた。 パレスチナ人の夫婦・サイード（ハリファ・ナトゥール）とライラ（アリーン・オマリ）だった。 18年前、湾岸戦争の混乱の中、隣同士の部屋で入院していた二組の赤ん坊。 危険な状態だったので二人は一緒に避難させられた。 その際に取り違えられていたのだ。
昨年日本で公開の 「そして父になる」 の設定ですね。 日本の作品は、一人の看護婦の起こした病院の一方的な過失（ちょっと悪意も感じましたが）という設定でしたが、この作品はもっとドラマチックな設定と、環境になっていました。
どうして敵対する二つの民族の子供が取り違えられたのか？ それも偶然のなせる業と、戦争というシビアな環境下での出来事でした。 病院の過失ではありますが、ちょっと恨み節も言い辛いんですね。
１８歳になった二人の少年、ひねくれることなく、すくすく育ったことが何よりと言えるほどのいい青年なんですね。 むしろそんな二人よりまわりの動揺が大きいのです。 世間体、兄弟、友達、軍、そして何よりもいがみ合っている二つの民族同士の葛藤、そう簡単にいかない難しい物語でした。
血を取るのか？ 育った環境を取るのか？ 生みの親か、育ての親か、私なんか短絡的にすぐに結論を急いでしまいますが、二つの家族の本当に取るべき道、そして二人の１８歳の少年の選択とは？
二人の母親
一番辛いのはこの二人
葛藤はあるものの、二人はちゃんと成長していた
しかし家族たちの動揺は、特に父たちは
“母”と過ごす
