サウジアラビアの首都リヤドでは、女性は肌をさらさないし、男性と近づいてはいけない。 男性に見られるのも良くないこととされているのだった。
ワジダはアブダラ(アブドゥルラフマン・アル=ゴハニ)という男友達と仲がいい、でもアブダラは自転車に乗っている。 とても追いつかない。 彼女も自転車に乗ってアブダラと競争したい。 でも女性が自転車になど乗ってはいけない、そういう教えなのだ。
ワジダは自転車が欲しかった。 そんな時、新品の自転車がトラックにのっていた。すぐに追いかけると、雑貨屋に納品されていった。 値段を聞くと800リヤルだ。 店の主人は、君には買えないよと言う。
ワジルは結構したたかに小遣いを稼いでいた。 ミサンガを編み、こっそり学校で売ったり、伝言役で配達料を取ったりしている。 でもそんな少額ではなかなかお金は貯まらないのだった。 毎日店に行き、売らないように主人に訴えるワジルだった。
母(リーム・アブドゥラ)は綺麗な女性だったが、父(スルタン・アル=アッサーフ)は週に1度くらいしか来ないのだった。 でもそんな父でもワジルは大好きで、父はワジルを可愛がっていた。 しかし母は今の妻の地位に不安を持っていたし、父は運転手台しか払ってくれず、生活費は彼女自身が遠くまで働きに行くのだった。
そんな母に自転車の話をしても母には通じないのだった。
しかし彼女にチャンスが訪れた。 学校でコーラン暗唱コンテストが行われることになった。 優勝賞金は1000リヤル。 彼女はこれだ!そう思った…
厳しい戒律のあるイスラム教ですよね。 女性に対しては特にそう感じます。 でもここに描かれているワジド、また学校にいる何人かの生徒たちは自由を求めているんですよね。 自転車にも乗ってはいけないのか? そう思いますが、昔の日本もほんの少しそんな感じがあったのでは? それは宗教観ではなく、女性はおしとやかに、という観点からだったような。
この作品が公開されてから、自転車はOKになったと、タレントのサヘルさんは言ってましたね。
なかなか厳格な校長先生役のアフドが良かったですね。 そんな校長先生の噂をしきりにする生徒たち、「校長先生宅に泥棒が入った」 「いや泥棒ではなく…」 そんな彼女が、ワジルに私も昔はあなたと同じような娘だったと言って行って聞かせるシーンが、最後に痛烈に跳ね返ってくるところは良かったですね。
果たして彼女は自分の自転車に乗れるのか? サウジアラビアにおける女性解放を描いた清々しいラストの物語でした。(G)
挑戦意欲が旺盛なワジダ
アブダラの自転車に乗せてもらえた
風邪を切って走るワジル
殆ど二人の生活の彼女、父はたまにしか来ない