anttiorbの映画、映像の世界

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待合室(まちあいしつ)-Notebook of Life-

2006年作品、板倉真琴監督、富司純子寺島しのぶ出演。

ある東北の小さな駅においてあるノート。 そこにはこの駅に来た人の様々な言葉が書かれている。
「おばちゃん」 と慕われていて酒屋を一人で切り盛りしている和代(富司純子)。 彼女はそのノートの様々な叫び、つぶやき、嘆きに返事を書いていた。
彼女は遠野からこの小繋に嫁いできた。 こんな田舎駅の酒屋に嫁いできてくれたことに夫の志郎(ダンカン)だけでなく、姑のキヌ(勝倉けい子)や周りの人たちも喜んだ。 和代(寺島しのぶ)もそれにこたえるように張り切って働いた。 周りともすぐ馴染み、しばらくすると娘が生まれた。
和枝(遠藤由実)が生まれ親子3人幸せに暮らしていた。 和枝は頭が良く活発で、二人には何物にも代えがたい存在だった。
しかし和枝は不慮の事故で亡くなってしまうのだった。 悲しみにくれる暇もなく二人は厳しい寒さとともに生きて行くのだったが、悲しみを忘れようと一生懸命働く志郎にも病魔が襲う。
ただ一人残された和代。 そんな和代がひっそりとノートを管理しているのだった。 このノートは和代の置いたものではない。 旅人がある日置いて行ったノートにいろいろな人が言葉を書き込み始めたのだった。 それを和代がこっそりと返事を書いているだけなのだ。
ある日一人の登山の恰好をした男・浩一(利重剛)が酒屋に来た。 和代は男がいった後、待合室で男のノートを読み男が妻と娘を事故で失った事を知る。 すぐに追いかけようと姿を探すがもう見えなくなっていた。
一晩を待合室で過ごし、生きる目的を失ったまま旅立った彼に、和代は読まれるあてのない励ましの返事を書く。 いろいろな事の書かれたノート。 そんなノートがある日突然無くなった。・・・・

元は実話ということらしいです。 見ているときは意外と淡々と鑑賞していたのですが、このレビューを書きながら思わず涙が出てきました。
東北の冬の厳しさを随所に込めながら、また半面、東北の人の強さ、優しさを描いた作品です。
いちばん驚いたのは当たり前ですが、富司純子寺島しのぶはやはり親子なんだなあという事です。 若いころは寺島が、今の和代を富司が演じているのが、ほんとに違和感が無いのです。
女優としてはあまり親子と感じさせない二人ですが、寺島しのぶが歳をとって枯れた演技をするようになると、母のようになるのではと思えますね。 監督の板倉真琴はやくざ映画の脚本を書いていたそうですが、これが監督第一作みたいですね。
ねっとりとした感動ではなく、さらっとしていて心に染みる作品でした。

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和代は一人で、酒屋を切り盛りしている

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彼女はノートの書き込みに返事を書いている

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しかしある日、思いがけない書き込みを見てしまう

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