実は北朝鮮に拉致されていた二人。 3年余りのもの間、お互いの生存を知ることなく、辛い日々を過ごした後、金正日の仲介によって二人は再会を果たす。 映画マニアとして知られている金正日は、平壌の中心部に 『国家映画文献庫』 を所有、およそ2万本のフィルムやビデオテープを所蔵していたといわれている。
本作は、チェ・ウニ本人やその子供たち、当時事件を調査した香港の捜査官や米国務省関係者、元CIA職員、脱北詩人らの膨大なインタビューを通じて、1978年の拉致から86年に二人が亡命するまでの過程を明らかにする・・・
冒頭は、流ちょうな日本語でのカセットテープからの声から始まります。 いったいこの人間は誰なのか? それがこの申相玉本人なんですね。 彼は日本に留学経験があり、日本語が堪能で親日家、話せて当たり前なんですが、どうして日本語で説明をしているのか?
そしてここがミステリーなんですね。 いまだに韓国では、申相玉は亡命したことにされているんですね。 でも、実際に申相玉は拉致されたと主張していますし、二人が亡命した際に証拠品として、その辺りを話したカセットテープや、中には誰も聞いたことのなかった金正日の肉声も入っていたとされています。
この拉致するときのやり方、さらにヨーロッパのオーストリアから、監視の目をくぐって脱出する時のところはなかなかリアルでした。
申相玉は2006年に亡くなりましたが、アメリカでしばらく生活をした後帰国、しかし韓国では監督として仕事をさせてもらえなかった、1986年にアメリカに亡命して韓国に復帰する意思を表明したときは、韓国は全斗煥体制、おそらく北にいったんは亡命した疑いのあった申相玉は色眼鏡でずっと見られたんでしょうね。
北朝鮮の国がいろいろわかる貴重なドキュメンタリーでした。