anttiorbの映画、映像の世界

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孤独のススメ

2013年作品、ディーデリク・エビンゲ監督、トン・カス、ルネ・ファント・ホフ出演。

オランダの田舎町。 妻に先立たれ、1人静かに暮らす初老の男フレッド(トン・カス)はある男(ルネ・ファント・ホフ)に怒っていた。 その男に彼は車代を上げて帰したと思ったからだった。
隣に住んでいるカンプス(ポーギー・フランセン)の家に入ろうとしていたので、その男を捕まえ、「金を返せ!」 と激怒していたのだった。
フレッドは信仰篤いこの町で、毎週日曜日の礼拝以外は周囲との付き合いを避けて、ひっそりと生活していた。 そんな彼の前に、ある日突然、言葉も過去も持たない男がこんな形で現れたのだった。
しかし金を持っていない男に、仕方がないので、玄関先の草むしりを言いつける。 男は素直に草むしりを始める。 終わった後帰っていいと言うが、どうせ行くあてもないだろうと思い、食事をとらせ、そして今まで使っていない部屋を使わせることにする。
そして日曜日には教会に行き、ミサに参加させる。 しかし、いきなり現れた出所不明の男に、付近の住民はざわつき始めるのだった。
バスに乗ってスーパーマーケットに彼を連れていく。 その途中で山羊を飼っている農家の前を通った時、いきなり彼は山羊に近づき鳴きまねをして、何か意気投合をし始めるのだった。 ふざけているのかと思ったフレッドは、彼を急き立て、スーパーに向かう。
しかしそのスーパーの中でも山羊の真似を始めるのだった。 しかしスーパーを出た時、子供連れだった父親に、娘の誕生パーティーの余興に来てくれないかと言われる。 思いもしなかった申し出に戸惑うフレッド。 名刺を渡されたフレッドは、しばらく悩むが、「50ユーロで引き受ける」 と連絡を入れ約束をする。
そして余興の練習をし始めるフレッドとその男、奇妙な二人の同居生活が始まっていくのだった…

オランダの監督、ディーデリク・エビンゲの初監督作品のようですが、原題直訳の邦題は 「約束のマッターホルン」 でしたね。
主人公フレッドはトン・カス、国内作品以外にはあまり出演履歴はありません、一方謎の男・テオ役はルネ・ファント・ホフ、彼も国際的な作品では初めて見る感じ。
物語は、この何とも不思議な男、後に名前がテオと判明するんですが、いきなり現れた謎の男と、厳格で孤独で、へそ曲がりのフレッドとの風変わりな同居生活のお話です。
フレッドの食事する部屋の正面には、妻と子供の写真が飾ってあるんですね。 そして6時きっかりに朝食、もちろんお祈りは欠かしません。 そしてこの余興を通して、少しずつ金を貯めはじめるんですね。
実はフレッドは慎ましい生活をしながら、あるところに行くことを夢見ているんですね。 そこがこの作品のポイントであり、だんだん明かされていくフレッドの悲しい過去のお話に繋がっていきます。
そして隣人のカンプスがことごとく邪魔をして、ケチをつけてくるんですが、そんな彼の心の内もだんだんわかってきます。 滑稽な変人のお話に見える冒頭から中盤なんですが、テオとは? 過去とは? がだんだんわかってくるにつれ、心にずんずん浸透してくる物語に変わっていくんですね。
前半と後半のギャップが大変ある作品ですが、なかなかの一風変わった感動作でした。

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厳格な生活をしているフレッド

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そこに現われたなぞの男

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行くところもなさそうなので家に住まわす

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ひょんなことから余興を二人で

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そしてこの女性が彼を知っていた

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ヤギと戯れるテオ

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