anttiorbの映画、映像の世界

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ヴァンパイア

2012年作品、岩井俊二監督、ケヴィン・ゼガーズ主演。

とある郊外で待ち合わせた男と女。“プルート” “ジェリーフィッシュ”という明らかな偽名で名乗りあった二人は、男の車で更に郊外へと移動する。 自殺サイトで知り合った二人は、この日一緒に自殺するために会ったのだった。
 途中で諍いが起きながらも、なんとか穏やかに会話や食事をしながらドライブを続ける二人。 話題はやがて自殺の方法に至り、そこで男が提案する。 「ひとついい方法が・・・血を抜くんだ」女はそれを了承し、二人は人気の無い倉庫に辿り着く。
「君が終わったら、僕も死ぬ」と言って、女を大きな冷凍庫の上に寝かせ、慣れた手つきで採血の針を両手足に刺していく男。 針から伸びた長い管の先には四つの瓶があり、その栓を開けると女の体から抜けた血が次々と溜まっていった・・・。
 その後、男は息を切らせて倉庫から出てくる。 そして車のトランクに置いたバッグの中から血の入った瓶を取り出し、興奮気味にその血を飲み始めた。
 男の本名はサイモン(ケヴィン・ゼガーズ)、アルツハイマーを患う母親ヘルガ(アマンダ・プラマー)と二人で暮らしている。 高校で生物学を教えており、生徒の一人・ミナ(蒼井優)が自殺を考えていると知ると、死んではいけないと諭す真面目な教師だ。しかしひとたび職を離れると、自殺サイトで血を抜き取る協力者を探し、自殺志願者の間では “ブラッドスティーラー” や “ヴァンパイア” と呼ばれていた。
彼は母を部屋の軟禁していた。 徘徊すると迷惑をかけるからだが、彼は大量な風船を母に取り付け、体が軽くなり、さらに部屋から出れないようにとの工夫だった・・・

題名からすると、吸血鬼物のホラー、怪奇作品のようですが、ファンタジー、ドラマ作品ですね。
物語は、ある自殺志願の少女と男のシーンから始まるんですが、彼はある意味言葉巧みに、少女をあるところに連れて行き、血を抜き、殺し、そしてその血を飲み吐く、なんとも暗く狂気の始まり。
自殺幇助とも取れますが、自分も死ぬと偽っていることから、これは殺人に近いですね。 主人公のサイモンは、自殺志願者たちの間ではヴァンパイアと呼ばれていて、多くの人間が集まってくる有名人、でも本当は普通の高校教師で、普通の感情さえ持っている人間にも取れます。
まあ二重人格と言ってしまうとそれまでなんですが、かといって残忍さが強烈にあるわけでもない、なんとも中途半端な存在。 ただ、アルツハイマーの母親を抱えていることが、彼の闇の部分を増幅しているのかもしれません。
岩井監督作品は、淡い情景を描くのが特徴であり、上手いと思いますが、日本の役者は蒼井優のみという今作は、充分世界観を描き切れなかった感じがしました。
暗くするならもっと徹底的にするべきでは?物足りなさが残った作品でした。

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自殺志願者を見つけ血を抜く

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高校教師のサイモンはミナが気になる

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しかし彼は病んでいた

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しかし彼は自殺志願者の集まりに

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