anttiorbの映画、映像の世界

不定期で、旅ブログも立ち上げます!

みなさん、さようなら

2003年作品、ドゥニ・アルカン監督、レミージラール、ステファン・ルソー出演。

ロンドンで証券ディーラーとして成功をおさめたセバスチャン(ステファン・ルソー)のもとに、カナダのモントリオールに住む母ルイーズ(ドロテ・ベリーマン)から電話がかかってきた。 
「パパの具合が悪いの。帰ってきて」。セバスチャンはとまどった。大学で歴史学を教える父のレミ(レミージラール)は女グセが悪く、家族をさんざん泣かせてきた人物で、15年前に両親が別れて以来、ほとんど口をきいていなかった。
さらに妹のシルヴェーヌ(イザベル・ブレ)は仕事で太平洋の上にいて、母一人ではいろんな手続さえもできないのだった。
彼の婚約者のガエル(マリナ・ハンズ)は美術品のディーラーをしていたが、彼の電話を受け同行すると即決した。
レミの担当看護師のコンスタンス(ジョアンヌ=マリー・トランブレー)は敬虔なクリスチャンだった。 付き添っているルイーズは、レミの女癖を説明する。 本人も認めているほど派手なものだった。
ベッドに寝ていても口数の減らない爺さんのレミ、ようやく着いたセバスチャンだが、絶えず電話で指示をしている忙しさだった。
でも父に対する優しさも持っている。 衛星で妹の動画を見せてあげたりもしてあげる。 
レミは大部屋だった。何とか個室に移れないかと看護師に言うのだが、空きが無く、用意する予算もない病院らしい。
セバスチャンはアメリカで精密検査を受けさせることにした。 ここには友人の医師がいるのだが、検査の結果はすぐに教えてくれた。 もうどうしようもない末期の症状だった。
父との移動中に電話を受けたが、彼は表情を変えることは無かったが、父はうすうす気がついているようだった。 アメリカの病院で個室に入らせようとするが、レミは頑としてアメリカに入院するのは嫌だと言い張る。 ついに切れたセバスチャンは大げんかをしてしまう。
しかしセバスチャンはこの公立の病院で、精一杯の看護を受けさせる決心をするのだった。 経済的に裕福な彼は、あらゆる手を使ってまず入院環境を変えていくのだった。 そして、今まで父がかかわりあった友人にも声をかけ、病室を賑やかにしていくのだった…

レミは1950年生まれ、今の団塊の世代です。 まだまだ働き盛りなんですね。 しかし突然、自分の死期が近いことを自覚させられます。
本当ならアメリカでの入院が一番いろんな面で満たされるのですが、レミはそれを拒否し、今まで生活してきたこのカナダで、自分の人生の最期を過ごすと譲らないんですね。 わかる気がします。
自分の住んでいた町、家、あるいは親の傍、子の傍、最後安らかに行きたい、せめて最後だけは、そんな思いはよくわかりますね。
でも、レミが死を受け入れているかといえば、そうではないのです。 未練もあり、恐怖もあるのです。 また痛みさえも襲ってきます。 そしてそのためになんとセバスチャンは大胆な方法を取るんですね。
日本でも、カナダでも犯罪になることを。でもそんな彼を周りは見てみぬふりさえするんですね。
ラストは安楽死に見えます。 具体的に言わないのですが、雰囲気でそれがわかります。 そして眠るように旅立っていくレミ、こういう最後を送れるのは幸せですし、セバスチャンは最高の親孝行をして送り出していきます。
悲しみの物語なんですが、何かここまでやってあげれば悔いが無いと思えるような物語でした。

イメージ 1
親子の最後は固い絆に

イメージ 2
友たちも集まってくる

イメージ 3
ここに集えない娘の映像を見せる

イメージ 4
最後の瞬間が近づく

イメージ 5