anttiorbの映画、映像の世界

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モロッコ、彼女たちの朝

2019年作品、マリヤム・トゥザニ監督、ルブナ・アザバル ニスリン・エラディ ドゥーエ・ベルカウダ アジズ・ハッタブ出演。

ロッコカサブランカ

人の行き来が多いカサブランカの往来を、臨月のお腹を抱えた女性・サミア(ニスリン・エラディ)が歩いていた。 「仕事を探しています」と、美容室に行ってサミアは言うが、店主の女性は「その体で働ける?」と質問し、サミアは仕事熱心な様子をアピールした。 5年間美容師の経験があることを言い、できる技術を並べ立てた。 その甲斐があって店主は「明日の朝8時に来て」と答えるが、サミアが店先を指して「そこに泊まっても?」と聞くと店主の態度が一変する。 サミアに住まいがないと気づいた店主は「邪魔。ここは仕事場よ、ホテルじゃない。 ほかの店を当たってちょうだい」と雇うことも断れてしまう。
美容院で断られたサミアは、再び裏路地を歩いて仕事を探す。 一般の家では「家政婦の仕事ができます」と言うが、みんな「人手が足りているの」と断られる。
イスラム社会では、未婚の母はタブー。 サミアが大きなお腹を抱えて仕事を探し回る姿を見てみんな厄介ごとの匂いをかぎつけて、深く関わり合ってはならないと感じているようで、ボストンバッグ1つを肩にかけて、重い身体を苦しそうに動かしながら歩くサミアを誰もいたわろうとすることはなかった。
ある家の前に立ったとき、「お姉さん」という声が頭上からかかる。 サミアが見上げると、ひとりの少女・ワルダ(ドゥーエ・ベルカウダ)がこちらを見た。 サミアはその家に声をかけるが、少女の母・アブラ(ルブナ・アザバル)は取り付く島もなく、ワルダが「手伝ってもらったら?」と言うが、アブラは「人手はいらない」と断る 。アブラの家はパン屋で、アブラがひとりで焼いたパンを、せまい店先で売っている。 アブラは未亡人で、女手ひとつで娘のワルダを育てていた。
断られたサミアはそのまま、アブラの家から見える反対側の通りの壁に腰を下ろし、時間も遅くなっても、どうやらそのままそこで夜を明かすつもりのようだった。 アブラの家から見えるのだが、関わりたくないので目をそらしたままシャッターを下ろした。しかし、娘のワルダの宿題をみながらも、アブラはサミアが気にかかって仕方がない。寝巻に着替えてベッドに入ってからも、気がかりだった。
夜も通行人が賑やかな界隈で、気にかかって寝られないと思ったアブラは外套を羽織ると外へ出て、サミアに声をかける。 サミアの荷物を持つと「うちは朝7時半に朝食をとる。それまでに起きて」と言って家の中に招久野だった。 居間のソファを提供し、サミアは感謝しつつ洗面所で脇の下の汗をぬぐい、洗濯物を洗ってソファで横になった。 しかし疲れて腹が張っていて、どの体勢もつらく感じる。
翌朝、娘のワルダがサミアに話しかける。 ワルダは人なつっこくてサミアに名乗ると「ママが好きな歌手と同じ名前よ」と教えました。 サミアは家事を手伝うと言うが、アブラは「けっこうよ」とつっけんどんな反応なのだ。 アブラは、あと何日か泊めてあげるからその間に仕事なり居場所なりを確保しろと言う。 夕食は8時だと言い、それまで外で探して来いと言う。サミアにとってはありがたいことだった。

イスラム社会での女性の地位というのが辛いですね。
監督はマリヤム・トゥザニ、日本公開作品は2本目ですが、私は初めて見ます。
サミア役はニスリン・エラディ、初めて見る女優さんですね。
アブラ役はルブナ・アザバル、「テルアビブ・オン・ファイア」 https://anttiorb.hatenablog.com/entry/2019/12/18/060000 に出演していました。


物語はもうすぐ産まれそうなお腹を抱えた女性・サミアが必死に仕事を探しているところから始まります。 美容師の経験のある彼女ですが、住む家がないことからどこも断られてしまい、家政婦としてもどこも断られてしまいます。 途方に暮れていた彼女に声をかけてくれたのは少女でした。 試しに、その家に声をかけますが、少女の母・アブラもやはり冷たく断ります。 少女はワルダといい、母に入れてあげないの? と聞きますが、母は耳を貸そうとはしません。 しかしサミアは、夜になっても店から見える場所にうずくまっている彼女を見捨てることはできませんでした。 そしてしばらく家におくことにします。


今作は夫を亡くし、必死に娘に教育を施し店を切り盛りする母のアブラが、何かいじらしいんですよね。 でもサミ兄で会うことから彼女自身の頑なさがだんだん解れていき、逆にサミアの方の辛い心情と、イスラム社会で今後どう生きたらいいかという現実感が迫ってきますね。
ラストがなんとも、後ろ髪を引かれるんですよね。 一体彼女はどうなるのか?この作品の現代は「ADAM」なんですよね。


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どこにも居場所のないサミア

 

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ここも断られたが

 

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娘のワルダはサミアの入れてほしいと懇願

 

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アブラは迷った末

 

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彼女を置いてあげることに

 

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そして3人の生活が

 

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そして店も手伝うようになる

 

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