モントリオール世界映画祭で、最優秀監督賞を取ったことは見た後に知りました。 太宰治の短編が原作ということですが、その辺も意識しなかったです。 太宰はあんまり読みませんね。暗いから…
この作品はちょっと見ているとすぐ感じましたね 「太宰色」が。 主人公の夫、大谷譲治(浅野)はもろに太宰なんですね。 最初佐知(松)は病弱の妻という感じで登場しますが、夫の借金を返すために夫が金を盗んだ居酒屋で働き始める。 佐知は美人なのですぐに看板娘となり、店は盛況になる。 いつも子供をおぶって通う姿は痛々しいが、今までの偏屈な小説家である大谷との生活からなぜか解放された感じで、このあたりのシーンは生き生きと描かれている。
お客で佐知に一目惚れの若者の岡田(妻夫木)とのうぶな関係、昔の憧れの人辻(堤)との再開と佐知の周りも動き始めるが、今までなんとなく無関心だった夫が、強烈な嫉妬を抱き始める(何と勝手な男か!)とまあ最後は夫が心中事件を起こして生き残ってしまうのだが…
戦後の動乱期を生きた太宰ならではの厭世的な原作を、豊富な役者で固めた作品なのですが、どうでしょう? 世界での評価と、日本での評価・興業はやはりギャップが生じる作品ではと思えるのですが。
もちろんここの役者の演技はレベルが高く、作品としてのグレードは高いのですが、レヴューを書きづらい映画ですね。
冷え切った二人の関係
それでも佐和は頑張るのだが
夫のしりぬぐいで働き始める居酒屋
若い青年と大谷
そしてもう一人の男