anttiorbの映画、映像の世界

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本日ただいま誕生

1979年作品、降旗康男監督、植木等 宇津宮雅代 川谷拓三 北村和夫出演。

第二次大戦、戦場で右肩の自由を失い、敗戦でシベリアに抑留されていた大沢雄平(植木等)は零下四十度を越える極寒の貨車の中で凍傷におかされ、両足を切断することになってしまう。 しかし、途中で線路が爆破され、負傷兵の助けを借り徒歩で目的地まで行くことになる。
大沢は動くことはできないが、介抱することで日本にかえろうとする、横田(川谷拓三)、坂本(中村敦夫)たちにより途中までは行くが、とうとう置き去りにされてしまう。しかし現地の村民に助けられ、何とか彼は日本に帰国できるのだった。
生死の境を彷徨しながら、引揚船で敗戦による荒廃と混乱の日本にやっと帰国。「よう帰って来た」 と涙する母(原泉)、弟(河原崎建三)との再会の喜びも束の間、彼は家に帰って、家族に負担をかけることを嫌っていた。
その時、義足をつけ歩くことを進められ、清水技師(高岡健二)が両足の義足を作ってくれリハビリに励む。 そして元上官の娘・実緒(山口いづみ)の家に寄宿して、慣れない義足をつけて生きなければならなかった。 その時、雄平は高子(宇津宮雅代)と知り合った。 そして雄平は再手術をした後、病院の片隅で細々と商売を始める。
そこで、雄平を満州の荒野に置き去りにした二人の男、横田と坂本に再会する。 土下座して許しを乞う二人と共に、雄平は小さな会社を興す。 商いも繁盛し、高子の心情を知り、彼女を愛し始めるのだった。
だが 、現実は夢を見させない。 会社は倒産し、心を開き生活を共にした高子とのどん底の生活、そして別れがやってきた。 九死に一生を得た生に次々と訪れる困難。 流転三界、雄平は、頭を剃り、頭陀袋を下げて放浪の旅に出る。
義足での托鉢行脚の放浪中、見知らぬ人々との交りの中から、きらめくような真理を会得し、自からの法悦を説き、安心立命の境地へ変貌をとげていくのだった…

曹洞宗大垣法永寺住職故小沢道雄師が自分の辿った、数奇な運命を著述した同名の小説の映画化ということなんですね。
監督は降旗康男、近作は 「追憶」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14915140.html ですが健さん作品を多く撮っていますよね。
主演は植木等、“日本一シリーズ” https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/MYBLOG/yblog.html?fid=0&m=lc&sk=0&sv=%C6%FC%CB%DC%B0%EC%A4%CE “無責任シリーズ” https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/MYBLOG/yblog.html?m=lc&sv=%CC%B5%C0%D5%C7%A4&sk=0 が有名ですが、後年はさまざまな役をするようになりました。

物語は、終戦の引き上げの時、両足を失い、同僚に捨てられ、それでも何とか帰国した男の物語ですね。 大沢雄平は僧侶の家の長男として生まれましたが、戦争で足を失い、実家に帰ることを嫌い、義足で生活を始めます。
冒頭のシーンで、上官の手紙を預かった縁で、その上官の実家に厄介になるんですが、そこで運命的な出会いをします。 美しく、上品な娘・実緒ではなく、ちょっとワケありな従姉妹の貴子でした。 その時は一夜限りでしたが、会社を起こした後再会するんですね。
お互い似た者同士の匂いを感じ、同棲をするんですが、子どもができたときに、会社は倒産、そして貴子が生活のために子どもをおろしてしまい、そこから二人の間に亀裂が入るんですね。
この作品、一度暗礁に乗り上げ、頓挫するんですが、植木等の尽力で完成、上映にこぎつける映画製作自体がドラマがかっています。 この原作を読み、なんとしてもという思いを植木等が持ったようですね。
彼の執念が映画を再び日の目を浴びるようにさせた、そんな執念を今また感じる作品でした。

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この二人が大沢の世話を買って出るが

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しかし裏切った坂本たちと再会

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高子と同棲を始める

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しかしすべてを失い

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托鉢

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