カン・ソンジン（ソン・ヒョンジュ）は少々荒っぽいが正義感の強い平凡な刑事で、足の不自由な息子と、内職して家計を支えている妻のことを気にかけている。 楽しみといえば、近所に住む大親友の記者ジェジン（キム・サンホ）と酒を酌み交わすくらいだが、日々幸せに暮らしていた。
上司からは、今大問題になっている連続殺人事件の犯人を早く逮捕しろと、日々圧力がかけられているが、人員不足なんでなかなか手が足りない。 そこでまだ若いトング（チ・スンヒョン）がソンジンにつけられ、二人で捜査に繰出していく。 そこで怪しい犯人に辺りをつけ、目星をつけた二人のうち一人を逮捕することが出来た。
そんなある日、大統領直属の情報機関である国家安全 企画部の室長ギュナム（チャン・ヒョク）がソンジンを呼び出してきた。 ギュナムは、別件で逮捕した男は、実はソンジンが怪しいとにらんだ男の一人で、別件の殺人をしているらしい容疑者だった。
ソンジンはもしかしたらと思っていた容疑者で、実はその男が国民を恐怖に陥れている連続殺人事件の犯人であるとギュナムは告げ、ソンジンに極秘資料を提供し裏付け捜査への協力を命じるのだった。
ソンジンはギュナムの話を信じて捜査を進め、取調べはどんどん強めの暴力も辞さない感じになっていく。 さらに、有力代議士（チョン・マンシク）との食事の場に呼ばれ、同じ出身ということで意気投合、息子のことで便宜を図ってもらえるくらいになってしまう。
しかし、次第に男が犯 人ではないこという疑問が湧いてくる。 さらに、ジェジンからも、その男が犯人ではない、このまま行くと無実の男を犯人にしてしまうと忠告をされる。
捜査の邪魔をする、厄介な存在ということで、ジェジンはギュナムに目をつけられる。 いち早く身を隠したジェジンだったが、いきなりソンジンの家にやってくる。
そしてソンジンの取った行動は・・・
この作品は全 斗煥（チョン・ドゥファン）の軍政時代の末期が舞台になっています。
監督はキム・ボンハン、初めて見る作品ですね。
主演はソン・ヒョンジュ、「殺戮にいたる山岳」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15020978.html に出演していますが、韓国作品には多く出ている売れている俳優さんですね。 そして冷酷なエリート役でチャン・ヒョク、いろんな出演作がありますが、私はあまり見た作品がありませんね。
記者のジェジン役はキム・サンホ、「あなた、そこにいてくれますか」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/15187321.html で主人公の友人役をしていましたね。 本当に重要な役どころでした。
物語は、国家権力が大変強い、韓国の民主化の前のお話ですね。 北との休戦とはいえまだまだ戦争状態、緊張感があり、ちょっと民主的な発言はすべて左寄りとされ、北朝鮮のスパイとみなされる超右翼政権の時代でした。
そこには国家安全企画部という、問答無用の取調べ、時には拉致、暴行、そして暗殺までなしてしまう恐ろしい機関が存在していました。 そこにバリバリのエリートでギュナムが任務に着きます。
同じころ、連続殺人事件が発生、国家はこの犯人逮捕に面子をかけていましたし、それは警察も一緒。 そこに真面目なソンジンとギュナムの利害が一致して行きますが、そこに敢然と民主化を求めた記者ジェジン、いつしか友情にどんどん亀裂が 入っていきます。
民主化前夜とはいえ、あまりにも恐ろしい国家体制、国の力が極端に強いと、恐怖に支配されていくことがわかる、空恐ろしい作品でした。
連続殺人犯の捜査をしているソンジン
そして記者のジェジンとは唯一気を許せた
彼には、障碍を持った妻と息子がいた
国家安全企画部のエリート・ギュナム
そしてソンジンは彼らに取り込まれていく
