anttiorbの映画、映像の世界

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いつまた、君と ~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~

2017年作品、深川栄洋監督、向井理尾野真千子出演。

慣れない手つきでパソコンに向かう芦村朋子(野際陽子)。 彼女は、亡くなった夫・吾郎(向井理)との思い出を綴っていた。 しかし朋子が突如倒れてしまい、孫の理(成田偉心)は祖母に代わって手記をまとめることにする。 そこには理が知らなかった、戦中~戦後の厳しい時代を生きぬいた朋子と吾郎(向井理)の歴史、そして50年におよぶ家族の愛の物語が記されていた。
昭和15年、今まで3年間にわたる文通の後ようやく会えた二人、この日の喫茶店のデートのために白いスーツで現れた吾郎はなかなか用件を切り出せないでいた。 彼はすぐまた南京に行く予定だった。国民政府との和平交渉の手伝いをするつもりという彼に、朋子(尾野真千子)は思わず一緒に行くと言ってしまう。
初めは日本軍の優勢で進んでいた戦争で、二人の生活も安定していて二人の子供、長男、次男が生まれた。 しかし戦局は一変、アメリカの参戦により、日本は敗戦を迎える。
吾郎はまじめな性格で、決められたものしか日本に持ち帰らないと言い最小限の身の回りの物しか引き上げ船に持ち込まなかった。 途中会った会社の上司の高杉幹夫(駿河太郎)に、みんなそれをかいくぐって日本に持ち込もうとしていると言い、吾郎のお人好しさに呆れるが、裸一貫で出直しと明るく虚勢を張る。 しかし早くも引き揚げ船の中の暗い雰囲気に朋子は嫌な予感が走るのだった。
とりあえず愛媛の朋子の実家に身を寄せることになった一家だったが、事務仕事しかしたことのない吾郎にとって、野良仕事は全く役に立たなかった。 人出が増えることを当てにしていた朋子の父・忠(イッセー・尾形)は、そんな吾郎に厳しく当たるが、実は吾郎は昔はここ一体の有力者の長男だった。
しかしその家から伝染病が広まり、父は責任を取って自殺をして没落をしたのだった。
そしてとうとう一家は愛媛を出て、奥茨城に移り住み、新しい生活を始めるのだったが…

これは主演の向井君のおばあさんの手記が元になっている作品ですね。 孫の“理” というところに? と思いましたが、日本が苦しんだ時の物語、そこに彼のお母さんの苦労も差し込まれています。
ヒロインは尾野真千子、映画としての近作は 「ミュージアム」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14554543.html になります。
物語は、芦村朋子の回想録となっています。 彼女は生きてきた戦争の前後、敗戦からいかに日本人が苦労をしたかの体験記ですね。 あまり知らなかったのは、東京や、大阪という大都会に行くことが制限されていたってことでした。 そこに行けば何か職にありつける、誰しも思う事から、そこに帰って来るもの以外は入っちゃいけなくしてあったという事でした。
吾郎はやはり敗戦の後の荒んだ世界をちょっと甘く見ていたのかもしれませんね。軌道に乗ったと思ったら、すぐにまた困難が襲ってくる、あの時の世の中はこうだったんだよ、そう語りかけてくるような作品でした。 しかしそんなどん底を乗り越えて来た人たちあっての今の日本という事も強く感じますね。

そして何よりこれは野際陽子さんの遺作になりました。 向井君は、野際さんとは本読みでしか会っていないと言っていましたが、実際の朋子さんとはどんな人だったかをいろいろ聞いてきたそうです。 最後までプロの女優さんだったという事ですね。
彼女のシーンを焼き付ける意味でも、見てよかった作品でした。

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文通を経て結婚した二人

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そして南京で敗戦となり引き上げる途中、上司の高杉に会う

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引き揚げ船の悲惨な光景

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そして家族で車を買いやり直すことに

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しかし事故に遭い、会社も・・・

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現在の朋子と娘

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