anttiorbの映画、映像の世界

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セールスマン

2016年作品、アスガー・ファルハディ監督、シャハブ・ホセイニ、タラネ・アリドゥスティ出演。

ある日突然アパートが壊れ始める。 近くで工事が始まり、古くなったアパートが崩壊をしたのだった。 住民は倒壊の危険を感じ全員が外に出たが、その中に、教師のエマッド(シャハブ・ホセイニ)と妻ラナ(タラネ・アリドゥスティ)がいた。 二人はともに小さな劇団に所属し、上演を間近に控えたアーサー・ミラー原作の舞台 「セールスマンの死」 の稽古に忙しいときだった。
思いがけないことで住む家を失った夫婦は、劇団仲間のババク(ババク・カリミ)が紹介してくれたアパートに移り住むことにするのだった。 そうしないと稽古場で寝泊まりをしなくてはならなくな るからだった。
エマッドは教師としては生徒から慕われ、彼の授業は冗談も飛び交うほど明るい授業だったし、生徒からは人望もあった。 慌ただしく引っ越し作業が始まるのだが、前の住人の荷物がまだ残っているアパートだった。 一応アパートに住んでいる他の住人に挨拶をするエマッドとラナ、しかしアパートの人たちはババクに対して 「今度の人は大丈夫だろうな?」 と気になることを言っていた。
そんな中、鍵がかかっている部屋があった。 どうやらその部屋にはいっぱい荷物が置かれっ放しになっているようで、前の住人はまだ引っ越し先が決まっていなくて、その部屋は開けないでほしいし、荷物も触らないでほしいと言っているようだった。
しかしそういうわけにはいかず鍵を開け、前の住人の荷物は一階の階段わきに置くことになる。 その日は夜に雨が降り始め、エマッドは気になり前の住人の荷物にビニールシート掛けてあげる。
セールスマンの死」 の舞台稽古は大詰めを迎えている。 初日を迎えた夜、事件が起こった。 ひと足早く劇場から帰宅したラナは、電話でエマッドとやり取りをしていて、少し後に玄関のチャイムが鳴る。 てっきりエマッドだと思った彼女は確かめもせずに、鍵を開けてしまった。
エマッドが帰って来ると、階段に血痕が、そして家は空いており、風呂場のガラスが割れ散乱していた。 ラナが侵入者に襲われたのだ。 江マッドはすぐ病院に駆けつけ、ラナは命に別条はなく、悲鳴を聞いたアパートの住人が病院まで運んでくれたとのことだった。
しかし、この事件以来 、夫婦の生活は一変した。 包帯を巻いた痛々しい姿で帰宅したラナは精神的にもダメージを負い、めっきり口数が少なくなった。
一方、エマッドは犯人を捕まえるために 「警察に行こう」 とラナを説得するが、表沙汰にしたくない彼女は頑なに拒み続ける。 立ち直れないラナと、やり場のない苛立ちを募らせるエマッドの感情はすれ違い、夫婦仲は険悪になっていった。
そして犯人は前の住人だった女性と関係がある人物だと確証をつかんだエマッドは、自力で捜し出すことを決意するのだが・・・

アスガル・ファルハーディー監督の新作ですね。 過去作品は 「別離」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/9233264.html 「ある過去の行方」 https://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12094491.html と見ていますが、どちらも心にしっかりと留まる作品でしたね。
主演はシャハブ・ホセイニ、「別離」 にも出演していて、監督作品には多く出ています。 そしてラナ役でタラネ・アリドゥスティ、美しい女優さんですが、今作では痛々しい姿を演じています。 彼女も監督の過去作に出演しています。
物語はちょっとした不用心から起こった夫婦の物語、ラナはこの後PTSDになってしまい、一人でいることに恐怖を感じ、夫が出勤するときについて行こうとします。 車の中で待っている、そういう彼女に対し、戸惑うエマッド、しかし頑なに警察に行こうとはしないラナ。
しかし手がかりがあるんですね。 それは犯人が慌てて乗り捨てて行った軽トラックでした。 しばらくそれを地下駐車場に停めて隠しておいたんですが、この車から持ち主を調べ始めていくエマッド、さらに舞台の本番も迫ってきますが、重要な役の彼女が不安定になってしまいます。
この作品、前半部分で乗り合いタクシーのシーンがあり、それがこの出来事の伏線になっているんですね。
意外な犯人像が最後明かされますが、サスペンス色もあり、夫婦の難しいドラマでした。 二人はこの出来事を乗り越えたのかは、見ている物にゆだねられた感じでした。

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新しい家に引っ越してきたラナ

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ババクが紹介してくれた

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しかし、ラナが侵入者に襲われた

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授業でも不安定になるエマッド

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そして舞台でも影響が出る

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夫婦の間に風が吹き始める

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