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サラエヴォの銃声

2016年作品、ダニス・タノヴィッチ監督、スネジャナ・ヴィドヴィッチ、イズディン・バイロヴィッチ、ヴェドラナ・セクサン、ムハメド・ハジョヴィッチ出演。

2014年6月28日、第一次世界大戦勃発のきっかけとなった皇太子夫妻暗殺、通称サラエヴォ事件から100年。 サラエヴォ最高級のホテル “ホテル・ヨーロッパ” では、記念式典が行われることになっていた。
そして、そのホテルにジャック(ジャック・ウェーバー)がやってくる。 支配人のオメル(イズディン・バイロヴィッチ)は、一番信用しているラミヤ(スネジャナ・ヴィドヴィッチ)に、彼のシャツをクリーニングに出し、すぐに仕上げることを言いつけ部屋に案内をする。 
彼は式典で好演をする予定だった。 部屋に籠ってその準備をするので、誰も入らないようにというのだった。 そしてそれを警護の警察官がモニターで監視をする。
一方、屋上では、ジャーナリストのヴェドラナ(ヴェドラナ・セクサン) が戦争についてインタビューをゲストを招いて次々としていた。 そこに次にインタビューを受ける男がやってくる。 彼はガヴリロ・プリンツィプ(ムハメド・ハジョヴィッ チ)といい、なんと100年前のサラエヴォ事件の主犯のサラエボ民族主義者と同じ名前だった。
ラミヤは、理念室に行き、そこで働いている実母のキキ(ボリス・ラー)に、大急ぎでシャツのクリーニングを依頼するが、実はこのホテル経営が行き詰っており、従業員への賃金が2か月滞っているのだった。
そして従業員は、この世界的な注目の時に合わせ、ストライキを行おうと計画をしているのだった。 その動きを知ったオメルは、地下カジノのギャングたちにその中心人物を封じ込めることを依頼する。 
そして屋上ではガヴリロのインタビューの時が来た。 それぞれの思惑がだんだんと交差していくのだった…

先日観た 「汚れたミルク」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14792150.html と同じダニス・タノヴィッチ監督の最新作ですね。 あちらの作品は事実を取り上げた衝撃作でしたが、今作は “サラエヴォ事件” から100年が経ったことから起きる、ホテルを舞台にしたサスペンス調のドラマですね。
ボシュニャク人の監督、実際にボスニア紛争に従軍していたことから、戦地での映像を多く撮った経歴があるんですね。 旧ユーゴで生まれた彼の経歴を見ると、その複雑な連合国家で育った歴史、そして第一次大戦の引き金になったサラエヴィ事件、そしてその後の独立を巡った悲惨な戦争、この作品では、同じ名前のガヴリロにその辺りの話をさせている気がしました。
一方ホテルの経営が行き詰まり 、やとわれ支配人のオメルの苦悩、そして従業員たちのギリギリの生活、ただ一人それを止めさせようとするラミヤの板挟みの状態などが入り混じった、ちょっと目が離せない展開が面白いですね。
正直、思い描いていた展開とは違いましたし、それが逆に先が読めなくなっており、そして最後の衝撃に繋がって行く感じ、因縁というのかもしれませんね。 なかなか興味深い作品でした。

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屋上ではテレビ局がインタビューをしていた

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そして従業員はストの準備を

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支配人のオメルは、地下のカジノのギャングに指示を出す

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苦悩するラミヤ

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インタビューの休憩中、銃を出すガヴリロ

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