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山の郵便配達

1999年作品、霍建起監督、滕汝駿主演。

1980年代初頭、中国湖南省の山間地帯。 郵便配達を長年勤め上げた男(トン・ルゥジュン)は、後継ぎとなる息子(リィウ・イェ)に引き継ぐため、初めて一緒に、最後の仕事となる “旅” に出る。
今までずっと一人でこの重労働をして来た父に対して、村長や、共産党は、彼の仕事の実態をあまり感知していなかった。 しかしとうとう彼も体に限界が来たのだった。 膝を痛め仕事を引退せざるを得なくなった父は、その後任に自分の息子を推薦するのだった。 彼の今までやって来た仕事に対する貢献度を、父は後任を彼が選ぶという選択をするのだった。
父は相棒であり誠実な家族でもある犬・「次男坊」 と一緒に、重い郵便袋を背に山道を辿り、幾つもの村を尋ねる旅に出発する。 しかし、息子はこの仕事を引き継ぐことを決めているにもかかわらず、何か父に対して壁のようなものを作っていた。 郵便配達の旅に関して初めから細かく教えていく父に対し、素直に受け入れるところと、何か違うという感情を持つ息子。
しかし、郵便配達を待っている山間地帯に住む村の人たちとの交流をして行く中で、息子はこの仕事の責任を徐々に感じていくのだった…

この原題は 「那山、那人、那狗」 といい、日本語訳では 「あの山、あの人、あの犬」 となるんですね。 これは邦題が良いでしょう。
監督は霍建起=フォ・ジェンチー、日本でこの作品が始めて紹介されたという事です。 その後コンスタントに作品を撮っていますね。
主演は父親役の滕汝駿=ン・ルゥジュンと、息子役の劉燁=リィウ・イェですね。 彼は 「ポリス・ストーリー/レジェンド」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13379593.html で、大きな役をしていました。
この作品の設定は1980年という事ですので、今は大きく変わっている地域もあるでしょう。 実際にバスが通っている映像もあり、そのシーンでは息子が 「どうして時間を合わせてバスに乗らないのか?」 と父に尋ねるシーンがあるんですね。
しかし、逆にいまだにそういう山間地域があるのかもしれません。 そして徒歩でしか行けない地域には、どうやって郵便物が配られ、集められているんでしょうか?
この作品の中に出てくる村民は、どう見てもエキストラではないでしょうね。 まあ息子がちょっと憧れる可愛い子は役者さんでしょうが、多くの父を迎え、息子を歓迎する人たちはそこに実際に住んでいる人たちなんでしょう。
いくつかの心に留まるシーンがあります。 一つは、目が見えなくなった老婆に手紙を届けるシーンですね。 そこには都会に住んでいる孫からお金が入っているんです。 しかし手紙は一切ない。 しかし老婆のために父親が勝手にまっしろな手紙を自分の老婆に対する気持ちを、あたかも孫の気持ちのように読んであげるんですね。
そして途中から息子に読ませる。 息子は父と同じように老婆を励まし労わること、あたかも手紙を読んでいるように言うんですが、老婆はそこである反応をするんですね。 このシーンはジーンときました。 お互いの気持ちの深いところで繋がっているシーンでしたね。
また “次男坊” という犬が何とも忠実なんですね。 本当に旅の相棒なんです。
これを見ていて、私は共産国家中国はあまり好きではありませんが、中国の田舎に住んでいる人たちの純朴さと温かさを感じました。
今の共産党政権を作った人たちは、この粘り強く、純粋な人たちが戦って勝ったからなんでは? そうも感じましたが。

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とうとう父が引退し息子に引き継ぐときが

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そして二人の仕事が始まる

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途中の村で

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下の道にはバスが通っている

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父のしてきた仕事をだんだん理解してくる息子

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