2004年作品、オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督、ブルーノ・ガンツ主演。
1942年11月、ナチ党結成の地ミュンヘン出身のトラウドゥル・ユンゲ(アレクサンドラ・マリア・ララ)は、東プロイセンのラステンブルクにある総統大本営ヴォルフスシャンツェ(狼の巣)を訪れ、ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラー(ブルーノ・ガンツ)の秘書採用試験を受ける。 ヒトラーはトラウドゥルがミュンヘン出身だと知って彼女に興味を持ち、秘書として採用する。 極度に緊張していた彼女は大喜びだった。
1945年4月20日、トラウドゥルはヒトラー総統の愛人エヴァ・ブラウン(ユリアーネ・ケーラー)や先輩秘書官のゲルダ・クリスティアン(ビルギット・ミニヒマイアー)たち総統地下壕の同僚と共に、ヒトラーの誕生日の準備を進めていた。 ソ連軍は既にベルリン近郊に迫っており、ドイツの敗北は時間の問題となっていた。
各地からナチスの高官たちが集まっての誕生祝賀パーティーが開催され、国家元帥ゲーリング(マティアス・グネーディンガー)やSS長官ヒムラー(ウルリッヒ・ネーテン)などの最高幹部たちは口々にベルリン脱出をヒトラーに進言するが、ヒトラーは頑なにベルリン脱出を拒否した。 ヒトラーは高官たちに各地の防衛指揮を任せ、祝賀パーティーは終了した。
4月22日、地下壕ではソ連軍に対処するための作戦会議が開かれる。 ヒトラーはベルリン周辺に駐屯する部隊に攻撃を命令するが、ヨードル(クリスチャン・レドル)やブルクドルフ(ユストゥス・フォン・ドホナーニ)ら将軍たちから 「部隊の消耗が激しく、攻撃は不可能」 と指摘されて激怒し、自殺する旨を宣言して会議を終了させる。ヒトラーはトラウドゥルたちに地下壕から退避するように指示するが、彼女たちは退避を拒み地下壕に残った。
高官から裏切り者が出たと地下壕に動揺が広がる中、軍需相シュペーア(ハイノ・フェルヒ)が地下壕を訪れ、ヒトラーと退去の挨拶を交わす。 シュペーアはヒトラーから受けていたインフラ設備の破壊命令を無視していたことを告白してヒトラーと別れ、地下壕を後にする・・・
156分の長い作品、ソ連軍がどんどん押し寄せてくるベルリンを描いたドイツ陥落前夜のお話ですね。 監督はオリヴァー・ヒルシュビーゲル、昨年 「ヒトラー暗殺、13分の誤算」 という作品も発表していますが、そちらは未見です。
そしてヒトラー役はブルーノ・ガンツ、近年は 「悪の法則」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/10646342.html 「リスボンに誘われて」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12744984.html 「アンノウン」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/13704015.html に出演、渋い役どころで存在感を見せていますが、ドイツ映画界の重鎮的立場ですね。
いろんな作品で描かれているヒトラー、つい先日SFコメディですが、シュールで恐ろしい作品の 「帰ってきたヒトラー」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/14245090.html を見ましたが、今作ではガンツなりのヒトラーを演じていました。
そして敗戦直前のドイツの現状におけるヒトラーでしたね。 個々人に対して対応を変えるヒトラーは、アーリア人に拘っているんですが、自らの正確な人種には口を濁すんですね。 もちろん負けることはもうすでに分かっていますが、第三帝国の幕引きは最後まで自分が行うという気持ちは強かった。
そしてその姿に最後までついて行くもの、いや命あってこそと思うもの、ヒトラー自身も生き残ってほしいものと、そうでないもの、また死ななくてはならない親類、特に近しい幼い子供たちは運命を共にしていくところや痛ましかったですね。
そんな最後の姿ははたしてこういうものだったんでしょうかね。