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栄光のランナー/1936ベルリン

2016年作品、スティーヴン・ホプキンス監督、ステファン・ジェームズ主演。

貧しい家庭に生まれながらも中学時代から陸上選手として類いまれな才能を発揮していたジェシー・オーエンス(ステファン・ジェイムス)は、家族の期待を一身に背負ってオハイオ州立大学に進学することになった。
出発する日、母は彼のために仕立てた綺麗なブレザーを着させるのだった。
「あなたがこの家で初めて大学に通うから」 そう言って袖を通させてくれる母。 そして父に挨拶に行くジェシーは、父にこっそりと手紙と紙幣を渡すのだった。 家計を思いやる息子だった。
そして彼がオハイオ行のバス停前で、ちょっと寄り道をし始める。 そこには彼のフィアンセのルース・ソロモン (シャニース・バントン)と娘がいるのだった。美容院で仕事をしている彼女にも少額のお金を渡し、大学では勉強と、練習と、バイトをしながらお金を送ることを約束するジェシーだった。
オハイオ大学の陸上部は、苦戦をしていた。 コーチのラリー・スナイダー(ジェイソン・サダイキス)は、何とか才能あふれる選手を見つけようと躍起になっていたが、なかなかいい選手は入ってこなかった。 このままでは彼の立場も危うくなりそうなそんな時、ジェシーが来たのだった。
今までの経歴を見たラリーは、すぐジェシーを呼び、明日から練習を始めると言う。そして初めて彼の走りを見たとき、ラリーは驚愕するのだった。 軽々と100ヤードの新記録を出すジェシー
ラリーは、ジェシーに練習のことだけ考えろ、 俺についてくれば必ずトップになれると言う。 そして記録よりも勝つことを考えろと言うのだった。
しかしジェシーは約束をした練習に来れずにいた。 それはルースと娘のためにお金を稼がなくてはならないからだった。 そのことを知らなかったラリーは、彼を職員扱いにして給料を出す配慮をするのだった。
そしてラリーとルースの二人三脚の練習が始まる。 目標は1936年のベルリンオリンピック、しかし世界はナチの台頭に揺れていて、アメリカは参加するかどうかで大きな論議になっていたのだった…

この公開もまさに今ならではでしたね。 この作品は、正直書きたいことがいっぱいありますが、それよりもこの作品は見てほしい。
黒人の偉大なり陸上選手・ジェシー・オーエン スの伝記ドラマと言うだけでなく、ナチが行った差別、それがホロコーストに繋がる前夜を描いているだけでなく、アメリカさえも行っていた黒人差別、その両面が色濃く描かれているからですね。
彼が参加した競技大会で、45分間に5つの世界記録をこの後まず打ち立て、あっという間に全米で有名人になっていきます。 でもそうなると、いろんな人間、マスコミ、そして女性が言い寄ってくるんですね。
また一方、アメリカがオリンピックに参加するかどうかも最後まで揺れるんですね。その部分では、ジェレミー・アイアンズ演じるアベリー・ブランデージがなんとかアメリカを参加させるため、何度もドイツに渡りゲッペルスと、そしてその記録映画を撮っていた女性監督のカリス・ファン・ハウテン演じるレニ・リーフェンシュタールとコンタクトを取ります。 ゲッペルス役はバーナビー・メッチェラート、冷酷な演技でしたね。
でも、ナチはユダヤ人迫害を始めていて、さらに有色人種を差別していました。 またラマ族に対しても露骨な政策を取っている報道もされており、アーリア人こそが優秀だと高らかに謳いあげていたんですね。
さらにアメリカが参加を決めた後にも、ジェシー自身が参加するかどうか選択に迫られてしまいます。
あらゆる困難を乗り越え、4冠を取ったジェシー・オーエンス、しかしこの4冠にもまたドラマがありました。
この作品を見て、当時は、特にこのベルリン大会は波乱に満ちていましたね。 いま行われているリオ五輪も、難民の問題、ドーピング 問題で揺れていますが、政治との関連性と、人種差別、迫害があからさまに行われていた当時は大嵐の中のオリンピックだったことがわかります。
純粋に、健全にスポーツの祭典になることを今後も願いたくなる作品でした。

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ジェシーとラリーは金メダルを目指す

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アメリカの五輪参加に奔走するアベリー・ブランデージ

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浮気が発覚、怒ったルースに謝罪

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アメリカが参加に傾いたときジェシーに人権団体が不参加を要請に来る

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気持ちの揺れ動くジェシーにラリーが一喝

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ドイツでは五輪を克明に記録映画に

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そしてアメリカチームで参加するジェシー

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