anttiorbの映画、映像の世界

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八月の狂詩曲

1991年作品、黒澤明監督、村瀬幸子、リチャード・ギア吉岡秀隆出演。

長崎から少し離れた山村に住む老婆・鉦(村瀬幸子)のもとに一通のエアメールが届いた。 それは鉦の兄であるハワイの大富豪・錫二郎の息子・クラークからで、不治の病にかかり余命短い錫二郎が、死ぬ前に鉦に会いたいというものだった。
ところが、兄弟が多い鉦には錫二郎という兄の記憶がなく、そんな鉦の気持ちとは裏腹に、突然現れたアメリカの大金持ちの親せきに興奮した息子の忠雄、娘の良江はハワイに飛んで行ってしまう。 それによって残された4人の孫・縦男(吉岡秀隆)、たみ(大寶智子)、みな子(鈴木美恵)、信次郎(伊崎充則)は夏休みを鉦の家で過ごすことになった。
孫たちは鉦の家の生活は馴染まなかった。 言いたいことを平気で言う孫たち、鉦が作っ てくれるおかずを、鉦は孫たちと一緒に食べることに喜んでいたものの、孫たちはとても自分たちの口には合わない、明日からたみが作るとまでいうのだった。
さらに、ハワイにいる資産家のもとにどうして鉦がいかないのか? とまで言い出す孫たちだった。
そんな孫たちも、長崎の街にある戦争の傷跡や鉦がいつも話す昔話を聞いて、その場所に行こうと決める。 それは、なかなかもう時間がたっているのもかかわらず、彼らの心に響いてくるものばかりだった。
そしてその日、家に帰って食事を終えた後、一番年下の信次郎が、アメリカに行きたくないという、鉦の気持ちを思いやって言い出すのだった。 アメリカに落とされた原爆、それによって祖父を亡くした鉦の気持ちを。
それを聞いていた鉦は、そんな孫たちの気持ち、思いやりに感謝するのだったが、もう自分には恨みという感情はあまりないと言う。
それよりも、アメリカに行くのも面倒だし、もう今となっては馴染みのない兄弟のもとを訪ねていくのにあまり意味を見いだせないのだった。
しかし兄弟がもう会えないかもしれないという孫たちの言葉にようやく彼女は、アメリカに行く決心をして、電報を出した矢先に、それと入違いに忠雄(井川比佐志)と良江(根岸季衣)が帰って来た。
手紙のことを知った二人は、その手紙に原爆のことが書いてあることを知り、急に落胆するのだった…

終戦記念日という事で、この作品を。
8月9日にアップするべきだったかもしれませんが、それはあまりにも生々しすぎると思いましたので、本日アップすることにいたしました。
黒澤監督の最後から2番目の作品ですね。 黒澤作品にしては短い作品、でもコンパクトな割にはなかなか意味深い作品に仕上がっていますね 。
ゲスト俳優としてリチャード・ギアが出ていますし、一生懸命日本語のセリフを言っていました。 また村瀬幸子が名演でしたね。 ラストの傘を持って走る姿は鬼気迫る感じでした。
物語はこの後、逆にリチャード・ギア扮するクラークが来日してきます。 彼は、原爆に対して謝罪の気持ちを持っているこの時代としては貴重?な存在なのかもしれません。
と、解釈していたんですが、実はそうではないという事も言われています。 なぜ彼が謝ったのか? それは長い間連絡を取らなかったことへの謝罪だという事です。ただ、原爆被害者への追悼のセレモニーを見守るクラークの姿も画かれており、何らかを感じて帰っていくという感じに作られている気がするんですが。
どんな理由があっても、核兵器を戦争で使用するという、絶対にあってはならない行為をしたアメリカ、いまだ謝罪を公式にしたことが無い非道な国という、そういう面をアメリカは持っている。
“勝てば官軍” という古典的な言葉は万国共通なんでしょうね。

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祖母のところへ届いた1枚の手紙

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孫たちとしばらく居ることになった祖母の鉦

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孫たちはだんだん当時のころに思いをはせていく

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しかし日本にやってくるクラーク

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アメリカに行く直前にいきなり・・・

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