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疑惑のチャンピオン


1993年に自転車ロードレースの最高峰とされるツール・ド・フランスにデビューした若きアメリカ人、ランス・アームストロングベン・フォスター)は、強靭な精神と勝利に対する執念を持っていた。 ツール・ド・フランスでの優勝を目指していた彼だが、彼の走りには弱点があった。 それは上り坂に弱いという事だった。
そこでランスは、イタリア人医師ミケーレ・フェラーリ(ギヨーム・カネ)を訪ねるのだが、彼の体つきでは勝てないと断言される。 そんな中、1996年、彼は世界ランク1位の活躍を見せながらも、医師から重度の精巣がんに冒され、すでに肺と脳にも転移していると宣告される。 生存確率は50%という事だった。
絶望の淵に立たされたアームストロングはそれでもあきらめず、過酷な大手術とリハビリを決意する。 しかし手術後、必死に歩行訓練をするも、辛さに耐えきれず車いすを使うことだってあった。
そして、何とか競技生活に復帰するまでに回復をした彼は、再びチャンピオンに返り咲くため、スポーツ医学の権威であるミケーレ・フェラーリを再び訪ねる。 そして彼の指導を仰ぐことに。 フェラーリはサイクリストのパフォーマンスを向上させる独自のプログラムの実践者だった。
アームストロングは復活を懸けて挑んだ1999年のツール・ド・フランスで、驚異的な快走を披露して見事に優勝を果たす。 しかし、かねてからアームストロングの才能を高く評価していたスポーツ・ジャーナリストであるデヴィッド・ウォルシュ(クリス・オダウド)は、このセンセーショナルな復活劇に疑念を抱く。
上り坂が苦手だったアームストロングが、短期間のうちにこれほど飛躍的にスピードが上昇するようになったのは、あまりにも不自然ではないかと。
そしてその裏側にはいろんな競技者、チーム、協会の思惑があったのだった…

薬物というのは、今芸能界を騒がしているドラッグだけではなく、スポーツの世界も、出ては消えの禁止薬物の存在がありますね。 これは世界中で言われていることで、有名なのは旧ソ連、そして今でもその悪しき伝統が引き継がれているロシアの体育競技、またMLBでもこの問題は多いですね。
私は、アメブロで 「私とプロレス」 http://ameblo.jp/atts1964/theme-10091936666.html という記事を週末に書いていますが、このプロレスの世界も昔からステロイド系の筋肉増強剤の使用がされており、その副作用で、死亡したり、廃人になったり、タイムや勝負を競うものではないにしても、使用を平然をしている選手が多いですね。
現役中の突然死、引退後の早世、さらには精神的な疾患なんかもこれに類するのではと思っています。
監督はスティーヴン・フリアーズ、最近の監督作品では、「あなたを抱きしめる日まで」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12040180.html はいい作品でしたね。 今作は自転車競技の恥部を浮き彫りにした、衝撃作でした。
あまり知らない世界ではありましたが、この競技のドーピングが多いこと(^^) ちょっと調べただけで、毎年陽性反応者が当たり前のように出てきます。 確かにここで優勝することで、地位と名誉、そして何よりも富を得ることができる。 それだけでなく、スポンサー、さらにはこの競技を主催しているアモリ・スポル・オルガニザシオンもある意味共犯者なのかも?
しかし、この作品での主人公、ランスは、癌との戦いにある意味打ち勝ったという意味では英雄なんですね。 そして癌患者に勇気を与え、多額な寄付さえもしている。ここが何とも悩ましい部分でした。
末期がんであろう少年に対する慈愛に満ちた表情、彼は自分のためだけに薬物に手を出したわけではない部分もあったのではと、感じさせられる複雑な個所でしたね。
映画は、事実を取り上げているので、やってしまったことは取り返しは尽きません。でもだから人間として真っ黒かと言われると、同情の余地も感じられるところ、悩める作品でした。

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がんを克服したランスは再び挑む

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そして出会ったフェラーリ医師

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脅威の走りを見せるランス

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しかしその走りに疑問を持つ記者デヴィッド

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