2000年作品、ラッセ・ハルストレム監督、ジュリエット・ビノシュ主演。
フランスの小さな村。 北風の強い日、そこにおそろいの赤いレインコートを着た母娘がやってくる。
娘を連れて現れたヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)は、ある空家になっていた店舗を見つける。 この家の大家である老女アルマンド(ジュディ・デンチ)に早速この物件を貸してほしいと承諾を得て、娘アヌーク(ヴィクトワール・ティヴィソル)と共にここに落ち着くことになる。
さっそく掃除をして内装を作り始めるヴィアンヌ。 そこに来たのは村長のレノ伯爵だった。 さっそく彼女を教会に来るように言うのだが、彼女はそれをあっさりと断り、何の店を開くのかはお楽しみだと笑いながら言う。 悪気はなかったのだが、早くもレノは彼女に対して悪感情を抱き、要注意人物だと認識をする。
実はヴィアンヌは南米から受け継がれるチョコレートの効能を広めるため世界中を旅しているのだった。 そしてここでもチョコレート店を開く。 しかし、早くも村長のレノは、良からぬ噂を流し始め、このチョコレート店に出入りをしないように村人にひっそりと話し始めるのだが、チョコレートのおいしさに魅了された村人たちは、心を開き、それまで秘めていた情熱を目覚めさせていく。
ジプシーの登場は、さらにレノの心をかき乱す。 しかし逆にヴィアンヌは、そのリーダーであるルー(ジョニー・デップ)という美しい男性に心惹かれていくのだった。
しかし、これがさらに大きな火種になっていくのだが…
今考えると、ビノシュとデップの組み合わせはなにか珍しいと感じますね。 しかし同い年の二人の雰囲気はこの役柄にそれぞれ合っていて、上手く作品中融合していますね。
監督はラッセ・ハルストレム、私が近年見た作品は 「砂漠でサーモン・フィッシング」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/7919114.html 「マダム・マロリーと魔法のスパイス」 http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/12346240.html はどちらもハートフルないい作品でした。
今作もなかなかの豪華キャストであるだけでなく、因習にとらわれる古い町と、よそ者のチョコレート店、そしてジプシーに対する排他的な行動という、対立構造を描いているんですね。
アルフレッド・モリーナ演じるレノ伯爵は、決して悪人ではないんですね。 しかしあまりにもこの村での自分の家筋からくる伝統に固執するあまり、どんどん周りが見えなくなっていってしまっています。 そして遠くに旅行に行っている妻は実は離婚をしており、村のみなは薄々知ってはいるものの誰も口には出さないんですね。
この後、ヴィアンヌの店のファンと、ジプシーとの パーティーが催されるんですが、ここで悲劇が起きるんですね。 その張本人はある男なんですが、それもレノ伯爵の意図を勝手に拡大解釈してしまう事から起きるんですね。
監督の代表作ともいえる今作、なかなか見応えがありました。