アルプスの高級リゾートホテルでバカンスを送る作曲家フレッド・バリイジャー(マイケル・ケイン)のもとに、女王陛下からの勲章の授与と出演依頼が舞い込んでくる。
フレッドの名を世界中に知らしめた不朽の名曲「シンプル・ソング」を、フィリップ殿下の誕生日に指揮するという名誉あるオファーであったが、訪ねてきた使者(アレックス・マックイーン)に彼は興味すら示さない。
母国イギリスのロンドン、そしてニューヨーク、最後はヴェネチアの楽団で24年 、作曲と指揮に持てる才能の全てを注ぎ込んだフレッドは、80歳となった今ではすっかり燃え尽きていた。 ホテルの宿泊客は、今も世界中のヒーローである元サッカー選手・ディエゴ・マラドーナや、かつて大ヒットしたロボット映画の役名で呼ばれることにウンザリしているハリウッドスターのジミー・トリー(ポール・ダノ)などセレブぞろい。 そんな彼らは皆世間とは違う風変わりな事情を抱えていた。
フレッドの60年来の親友である映画監督のミック・ボイル(ハーヴェイ・カイテル)も同じホテルに宿泊していたが、現役を続けるミックは若いスタッフたちと新作の脚本執筆に励んでいる。
そんな中、父を心配する娘のレナ(レイチェル・ワイズ)が予約したマッサージやサウナ、健康診断を淡々とこなすフレッド。 何ごとにも無気力になってしまったフレッドの唯一の楽しみは、ミックとの昔話と悪ふざけ、そして歳を重ねたがために頭と体のあちこちに出て来た不具合自慢だった。
ある時、部屋へ戻ると、夫のジュリアン(エド・ストッパード)と旅行に出かけたはずのレナが泣きじゃくっている。 ジュリアンの父であるミックに、君の息子が私の娘を捨てたと告げるフレッド。 驚いたミックはすぐに息子を呼び出すが、彼は新しい恋人を連れて来るのだった…
パオロ・ソレンティーノ監督作品は、初鑑賞。 名優マイケル・ケインを主役に据えた、老指揮者の物語でした。 老いているとはいえ、実は健康体のフレッド、その傍らには、娘のレナがいるんですね。 しかし彼女にも人生の大きな転換期が襲ってきます。 いや彼だけではなく、このリゾートホテルは何かそんな雰囲気を漂わせているんですね。
人生の再生をするためのホテル、あるいは決着をつける場所でもあるのかもしれません。
本人自身が出演しているシーンもあり、「よく似ているなあ」と思ったら、マラドーナでした(^^)ちゃんと肥ってもそのテクニックを見せてくれています。
ただ、なかなか真っ直ぐな作りの作品ではないので、わかり辛さもあり、なかなか最後まで見続けるのが辛いのか、途中退出する熟年のお客もいましたね。
でも最後まで見ないと良さがわからない作品かもしれませんね。
歌曲賞ノミネートですから(^^)

リゾートホテルに隠遁生活のフレッドたち

ミックとあらゆることを賭けの対象に

娘のレナも父と共にここに


