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少女ムシェット

1967年作品、ロベール・ブレッソン監督、ナディーヌ・ノルティエ主演。

重病の床に臥す母親(M・カルディナール)とアル中でまともに働く気力もない父(P・エベール)、乳離れしない妹、そして兄を持つ十四歳の少女ムシェット(N・ノルティエ)は、フランスの片田舎で貧困生活を送っていた。
僅かな酒の密売でその日の糧を得て暮していたが、父はどうしてこんなに邪慳なのかと思われるくらいムシェットに当たり散らし、学校にいっても誰からも相手にされない孤独な少女だった。
そんな彼女は、ちょっとした洗い物で小遣いを貰っては父にむしりとられる。 また、学校での不満を、下校時に隠れて出てくるクラスメートに土を投げつけて憂さを晴らしていた。
しかし病床の母の事は、彼女は一番気にしており、家に帰ると真っ先に母の面倒を見る、母思いの娘でもあった。
ある日、学校の帰り道、ムシェットは森の奥深く入って道に迷ってしまった。 その頃、森で鳥や兎の密猟がしきりに行われており、これに対して監視の眼を光らせるのが森番のマチュー(J・ヴィムネ)の役目だった。
彼は密猟のアルセーヌ(J・C・ギルベール)がワナを仕掛ける現場をつきとめ、争いになった。 二人は密猟者と森番という対立的な立場にあるばかりでなく酒場女のルイザ(M・トリシェ)を奪い合っている恋仇でもあった。 その場は、森番マチューがアルセーヌの持っていた酒に酔いしれたために無事収まった。
その夜、雨でビショ濡れになり道に迷ったムシェットを、アルセーヌが見つけ自分の小屋に連れ帰った。 酔っ払った彼はムシェットの濡れた服を乾かしてやりながら、森番を殺したと告白して、彼女にアリバイ工作を頼むのだったが…

ロベール・ブレッソン監督作品は初めてですが、このあらすじを書くのも、ただ見ているだけではなかなかわかりづらいんですね。 それも監督の手法は、芝居がかった演技を嫌い、初期の作品を除き出演者にはプロの俳優の人工的な演技行為の意味や感情をあらわすことをひどく嫌ったため、その作品限りの素人ばかりを採用したという事で、極限まで虚飾を廃して大胆かつ慎重に作り上げられたその作りは尋常ではない感じさえするからです。
父の虐待というか、彼女に当たるシーンも、通常ならもっと派手にやるところ、後ろから突き飛ばしたり、無言ではたいたりするだけで、会話もほとんどなく淡々と流れていくんですね。
ただ彼女の憤りは、随所に差し込まれ、また肝心な展開部分では、しっかりと会話劇となっています。
この後14歳の彼女はレイプされてしまうんですが、そのシーンもあっさりとしたもので、その後彼女が見せる悲しみ、そしてでもしないお乳を妹にやるシーンで、衝撃の度合いをあらわしていくんですね。
この作品もラストが衝撃的ですね。 学校から真実を追求され始め、彼女はもう八方ふさがりになっていき、選んだ選択は、不思議な方法でのある行動でした。 終わり方もざくっとした感じでしたが、これは心に刺さるラストシーンでした。

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病床の母の代わりに妹の面倒を見るムシェット

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しかし家の事もやらされている彼女

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ごく時々憂さ晴らしで遊ぶムシェット

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しかしある秘密を知ってしまった彼女は

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様子のおかしい彼女に教師が

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そして彼女の決意は・・・

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